3-5
ウスクさんの答えを聞き、ようやく俺にも理解できた。
補佐官は、その性質上、
「なるほど。ヨキ、頼まれてくれるな?」
「承知しました」
俺は、特に驚きもせずにうなずいていた。
クシナを旅立つ補佐官には、先輩たちが選ばれるはずだ。間違っても、俺や、モタカ先輩の弟じゃない。
しかし、そこで候補の一人である、モタカ先輩本人から、声があがったのだ。その声音は、いかにも言いにくいことを話す、そんな響きを伴っていた。
「あの~、ちょっといいっすか? この話の流れだと、
思いもよらない発言だった。
反射的にマリアを見る。彼女も、不安そうな表情で、俺のことを見つめていた。
マリアと離れたくない。
とっさに抱いた気持から、俺は、つい抗弁していた。
「待っ、待ってください! 俺は、クシナから出てくつもりは――」
「貴様、お役目を放棄するのか?」
師匠が、今までも聞いたことのないような、恐ろしく冷たい口調で、俺に向かって言い放っていた。
「いえ……滅相もございません」
反論の余地などない。
そう答えざるをえなかった。
俺だって、神のご意思ほど重要なものは、ほかにはないと、固く信じている。
だけれど……。
それでも、マリアと離ればなれになってしまう、という不安は、神から見限られるのと同じくらい、俺をパニックにさせるのだ。
俺の葛藤をよそに、ウスクさんによって、
ウスク隊長を筆頭に、俺・オオミ・シイナ・マイ。それから、
顔合わせもほどほどに、ウスク隊長は、マイを引き連れて、
目が合うと、先輩は自ら、俺のほうへと近寄って来た。
「悪かったな……マリアがいるのに」
「いえ、そんなことは……」
本当は、モタカ先輩のことをなじりたかったが、かろうじて俺はこらえる。――というよりも、先輩の表情を見ていたら、とてもではないが、文句など出て来なかった。
その口元に、見たこともないほど寂しげな、ほほえみが浮かんでいたからだ。
「お前は、俺が宇宙船を嫌ってるから、押しつけたんだと思ってるだろうが、それは違う。言ったことは本当だ……と思う。まっ、嫌いな理由は、アチオさんと同じだけどな。……クシナを出るために作った乗り物が、俺は、どうにも好きになれねえ。
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