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順調に話が進んでいく中、また別のだれかが声をあげた。その内容に、師匠とウスクさんが、一瞬、目をつむる。この場では触れてほしくなかったと、そう言いたげな表情だった。
「ちょっと――ちょと待ってくれ! バケムクロとの戦闘を、考えなきゃいけないんだろ? 怪我をしたら、どうするつもりだ? 医者は? まさか、この
「だかろと言って、見習のマリアに、こんなお役目を任せられるのか!? そんなことで、神のご意思が務まると、本気で思ってるのか!?」
「馬鹿やろう! お役目を果たす前に、そいつらの帰って来る場所が、なくなっちまうぞ!?」
師匠もウスクさんも、何も言わない。もはやこうなっては、だれも止められないと、わかっていたのだろう。それがわかっていたからこそ、ウスクさんは、
俺は、何もできなかった。
自分の無力さを痛感しながら、目の前でくり広げられる言い争いを、ただ茫然と眺めるしかなかった。
そんなとき、一人の人物が声をあげる。
先生だった。
「
「言ってみろ」
「はい。この
それでも、反対の声は止まらない。
「よその
これだ。
俺は、先生の意見に乗っかることが、この場を収める唯一の方法だと、直感した。
ゆえに、出しゃばったかもしれないが、俺は、口を開いていた。
「聖域は、俺たちが独占してるものじゃありません。それともあなたは、神聖な場所を、俺たちだけで占有しろと、言いたいのですか?」
「うっ、補佐官……。いや、なにも俺は、そんなつもりじゃ……」
見計らったような、師匠の咳ばらい。
この場に、不自然な沈黙が作りだされる。
「なるほど……。ヨキや先生の指摘するとおり、聖域をともにする
「わかりました。……しかし、
「ふむ。何が言いたい?」
みんなの気持ちを代弁するように、師匠が尋ねる。だが、この二人であれば、きっと手に取るように、お互いの主張がわかったことだろう。
「はい。
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