第5話

「人類の故郷? このくずのような星が?」

「そう、環境汚染が悪化して、人類は次第にこの星をごみ捨て場として利用するようになった。いつの間にか、ここが人類発祥の地であることすら忘れ去られた。自分達の故郷を消失させるなんて、許されないこと」

「でもまた同じことが繰り返されるんだよね?」

「なんとかこの星の環境汚染を止めなくちゃいけない。しばらく放置していたけど、スーパースノーマシンの開発を再開しないと」

 アルカはわからないことばかりで、ただ困惑し不安だけが募っていた。

「僕に何かできることはあるかな?」

「アルカ、急に色々な話をしてごめん。今日はもう休みましょう。エリスもゆっくりしてちょうだい。私はやることがあるから」ミーシアは話し終わると、すぐに隣の作業部屋へと足を運んだ。


「ふう、何がなんだか、わけがわからない」

 頭を抱えるアルカに、エリスは優しく話しかけた。

「大丈夫、いざとなれば私が守ってあげるから」

 アルカは不思議そうにエリスを見つめた。「エリス、君は僕のことを知っている?」

「もちろん、だって君は私に恋をする。人間ではないのに。ひとりぼっちだった私はとても嬉しかったよ」

「恋……。それはどういうものなのだろう」

「ふふ、そのうち目覚めるんじゃない?」

 笑顔を見せるエリスに、アルカは心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。


 翌朝になると、ミーシアは三輪車に機材を積み込み、出かけようとしていた。

「母さん、どこに行くの?」アルカが目を擦りながら問いかけた。

「宇宙戦艦の廃墟まで行ってくる。あの戦艦を利用してスーパースノーマシンを開発していたの。スノーと言っても本物の雪ではなくて、汚染物質を中和するためのバイオナノマシンだけどね。スノーコーティングの大型版といったところ」

「僕も一緒に行くよ」

「アルカはエリスと留守番していて。いつレベルテンになって、次元崩壊爆弾が投下されるかわからないから、宇宙レーダーの監視しておいてくれる? 何かあったら連絡ちょうだい」


 アルカはすぐ後ろにいたエリスに視線を向けると、エリスもコクリと頷いた。

「わかった……それじゃあ、エリスに僕の自慢の工作でも拝ませておくかな」

「じゃあ、行ってくる」ミーシアは手を振ると、すぐに三輪車を発車させた。

「エリス、君に見せたいものがあるんだ」

 ガレージから少し離れた広場まで二人で歩く。そのすぐ後ろにスチールが続いた。

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