第3話

「この子、死んでる?」

「わからないわ、とりあえず中から出してベッドまで運びましょうか」

 二人が少女の体に触れようとしたとき、少女はパチリと目を開け、アルカに視線を向けた。

「うわっと、目を開けた!」

 アルカが後ずさりすると、少女はむくりと起き上がり、うーんと背伸びすると彼に笑顔を向けた。

「こんにちは、私はエリス。予定通り、到着したのかな? ここはドリームスター?」

「ここはたしかにドリームスターだけど……それがどうしたの?」アルカが怪訝そうな面持ちで問いかけた。


「現在この星の環境汚染度はレベルナインです。レベルテンに到達した時点で、この惑星ごと廃棄することが宇宙環境保全機構で決定しました」

「ええ? 廃棄ってどうやって?」

「次元崩壊爆弾で時空の彼方へ消し飛ばします」


 驚きのあまり声を失ったアルカが沈黙する中、ミーシアは腕を組み、じっと考え込んでいたが、やがて口を開いた。

「とうとうその日がやって来たということね。あなたはそれを連絡するために、わざわざここを訪れたということ?」

「いえ」

「それじゃあ、何のために?」

「この星を救うために」


「とりあえず、話を聞きましょう。コーヒーを入れてくるわ。そこの椅子に座って待っていて」

 ミーシアが声をかけると、エリスはカプセルから足を出して立ち上がった。少しよろめいたところをアルカが支えた。

「ありがとう、眠りから覚めたばかりで足がおぼつかないわ」椅子に座ると、エリスはふうと溜息をついた。

 アルカはエリスを珍しそうに眺めた。

「僕さ、この星でずっと暮らしているからよく知らないんだけど……女の子だよね?」

「そうよ、私は一応女の子。女の子に会ったことないのかな?」

「うん、初めて! 髪がサラサラして、なんて言うか、すごい綺麗なんだね、女の子って」

「お世辞かしら? まあ、悪い気分じゃないわね。前にも聞いたけど」エリスはふふと笑った。


 ミーシアは戻ると、テーブルにコーヒーの入ったアルミ缶をエリスの前に置いた。エリスはコーヒーに手をつけず、ただじっと見つめていた。


「それであなたはどこから来たの? なんでカプセルなんかに入っていたの?」

「私は……明日の未来からやってきました。時空カプセルに乗って」

「時空カプセル?」アルカは聞いたことのない言葉に戸惑った。

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