12/21 コンタクトレンズ
部活を終えて家に帰るとなにやら母氏がメモを渡してきた。ご近所のイルミネーションを網羅したメモだ。ただ小児科医院だとか老人ホームの庭だとか、いまひとつロマンチックじゃない。
「春臣さん、クリスマスにデートとかするのかしらって思って」
「あー、きょう部活にその子が来て、僕の顔みて『思ってたのと違う』って言って逃げていったよ」
「……あー……春臣さん、中学のころはコンタクトレンズだったものね」
どうやら母氏は自分が恋愛に興味を持ったのが嬉しかったらしく、黒崎さんのコレジャナイ発言に残念そうな顔をしている。
「まあ、クリスマスは部活のみんなとのんびり過ごすよ」
「そう? ショックだったりしない?」
「うーん……好きってほど好きじゃなかったから」
「まあ、春臣さんはわりと他人に興味がないものね。高校に上がってからずっとドンヨリしてたけど、園芸部に入ってニコニコし始めたから、園芸部がいい人ばっかりだって想像できるわ」
その通りなのであった。園芸部のみんなは、心の底から信頼できる。
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