12/19 イルミネーション

 園芸部の朝は早い――(言ってみたかっただけでさして早くない)。

 校舎についたらハボタンとビオラに水をやりつつ、凍っていないかとか、枯れた花がないかとかを確認する。少々ビオラがしょぼくなっているが問題なしだろう、たぶん。

 家庭科室の前を通りかかる。料理部がシフォンケーキをご開帳しているのが目に入った。なんだかニコニコして、とにかく通り抜ける。

 部室につくと、有菜先輩が石油ストーブで温めたおしるこを飲んでいた。自分のほうにも缶を放ってきたのでキャッチするとホカホカの缶コーヒーだった。ありがたく飲む。

「で、どんな感じ?」

「黒崎さんでござるか? きのう眠れないって夜中にメッセージよこしてきて、深夜までポチポチしてたでござる」

「うわーっ!!!! いいよいいよ春臣くん! その調子でクリスマスにデートとか誘えばいいじゃん! いやー自分の恋愛は不快だったけど他人の恋愛眺めるのたのしいわー」

「デートってどこに行くでござるか? フードコート?」

「フードコートはだめだよ、もっといいとこいかないと」

「いいとこ……というと喫茶店とかでござるか?」

「あとはイルミネーションだね。うん、クリスマスならイルミネーションだよ」

 そういうものなのだろうか。翔太氏と沙野先輩も来て、園芸部の活動を始めることになった。

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