　自分の読んでいたライトノベルを強奪したウェーイたちは、

「うわなにこれ漫画だと思ったら字の本？！」とか、

「えっビリヤニお前字の本読むの？！」とか、口々にそういう嘆かわしいことを言っている。逆に朝読書の時間、こいつらはなにを読んでいるのだろう。

「おーい春臣ぃ、有菜先輩が呼んでんぞ」

　翔太氏が助け舟を出してくれて、自分は無事にウェーイの包囲網を脱出した。

「大丈夫か？」

「大丈夫でござる。あれらは朝読書の時間なにを読んでるんでござろうか」

「なんかあいつら、スポーツのメンタルの鍛え方の本とか読んでるぞ。大半が絵のやつ」

　そうなのか。まあそれも読書に変わりない。

　昼ごはんを校舎の隅っこで園芸部全員で食べる。チーチクをモグモグしながら、無事にインスタのアカウントを教えられたことを説明していると、めったに鳴らないことに定評のある自分のスマホが鳴った。インスタでフォローされました、とある。

　恐る恐る開いてみる。「ＨＡＬｎａ」というアカウントにフォローされていた。開いてみたらどうやら黒崎さんらしいので、フォロバした。

　その一連の動作をしたところで、園芸部の面々から拍手が巻き起こった。

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