12/9 ウェーイ

 インスタのアカウントを教える手紙を書いたので、それを黒崎さんの下足入れにそっと入れる。

 外は雪だ。まだ積もったりはしなさそうだが、それでもやっぱり本当に冬になったんだなあ、と思う。雪に降られれば制服だけだと濡れてしまうので、薄いジャンパーを着て寒さに耐えているのがちらほらいる。

 ハボタンとビオラを点検し、きょう一日が始まった。


 だいたい休み時間は自分の机をウェーイに取られてしまう。なので基本的な姿勢としては「耐え難きを耐え忍び難きを忍び」である。安い香水をぷんぷんさせながら、ウェーイたちは漫画雑誌を開いている。表紙が水着のお姉さんのやつだ。自分が買ったら親に叱られる。

 無視してライトノベルを読む。文庫本のありがたいところはカバーが安価に売られているところである。大判ライトノベルもだいたい各レーベルおなじサイズなので、学校で読むにあたっては包装紙のカバーをかけている。

「あれービリヤニ、性欲なんかないって顔のくせに美少女ちゃん好きなんだ」

 ウェーイのひとりが、自分の開いていたライトノベルの挿絵に目をつけた。やばし。これはやばしですぞ。

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