12/8 ゲーム

 クリスマスプレゼントに塩対応なのは小学校に上がったころからだ。

 小学生になって、自分はサンタクロースがいないことを知った。そして、友達がゲームというもので遊んでいることを知った。

 クラスの話題はゲームの話ばかりで、両親に欲しいのだと打ち明けたところ、「暴力や性的な内容がないものならいいよ。調べておくね」と言われた。数日後これならいいよとリストアップされたゲームソフトは、どれもつまらなそうで、クラスメイトの遊んでいるソフトは一本もなかった。

 そこからクリスマス塩対応の春臣くんが始まった。その年のクリスマスプレゼントは結局折り畳み将棋盤と駒だったが、結局父氏は忙しいし母氏は勝負事がド下手クソなので、当時存命だった祖父とよく指した。しかし祖父は昔とった杵柄で大人気なく負かしてくるのでやる気を失った。

 いまではゲームをしようとはあまり思わないし、その点では両親の判断は賢かったと言える。


 夕飯をさっさと食べて、自分の部屋に戻りメッセージアプリを開く。

「インスタ、ふつうに見る専だって言って教えて、なにかシェアしたいものができたらシェアしたら?」と沙野先輩。それもそうか、と、手紙にユーザーネームと「見る専です」ということを書いた。

 ドキドキする。課題を片付けて風呂に入り布団に潜り込むがさっぱり寝付けない。すっかり深夜だ。

 窓が明るい。雪が降っている。

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