12/7 塩対応

 これは困った。教えてもなんにも投稿していないわけだから黒崎さんは見るものがないし、自分が黒崎さんのキラキラした日常に興味を持てるか自信がない。グヌヌと悩んで園芸部のグループチャットに相談してみる。

「いまからでも花とか野菜とかUPしたら?」と、有菜先輩。

「でもそこから異世界バレしたらやばいっすよ」と、翔太氏。

 そうなのである、園芸部が異世界に行けることは秘密だ。異世界で撮った写真はきさらぎ駅的に真っ白になるから直接はバレないが、園芸部の畑でこんなに穫れました! 異世界でも好評でした! と、うっかりキャプションをつけてバレるかもしれない。


 そんなことをハイベッド下の秘密基地で考えていると、母氏が夕飯だと呼んできた。食卓で、父氏にクリスマスになにが欲しいか聞かれたので、今年も「図書券」と答えておいた。

 春臣さんは相変わらずの塩対応ね、と母氏に笑われたが、そもそもゲームや流行りのオモチャを買ってくれなかったから毎年図書券や漫画の全巻セットをお願いしているのだ。なるべくエグくて際どいラノベを買おうと決意した。

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