　つまり、と有菜先輩が切り出す。

「春臣くんはジ●リのただ可愛いだけじゃないところが好きなんだ、って書けばいいんじゃない？　悲しい話もあったりそこで泣いたりして感動的だ、っていう」

　思わず、

「アハ体験！！！！」と叫んでしまった。

「いやアハ体験て何年前？！？！」

「いやそれ野ギャルに憧れる有菜ちゃんが言うことじゃないよ」

　というわけで手紙の方向性が決まったので、極力オタクの早口を回避して手紙を書く。きょうも下足入れの周りに人影はなかったのでそっと入れて帰った。

　翔太氏が、帰り際に黒崎陽菜さんの画像を見せてくれた。たまたま翔太氏と同じ中学の、翔太氏の友達が同じクラスで、頼んで手に入れたのだという。いい友達をもったなあとしみじみと思うとともに、わりと好みの顔立ちの女の子で、自分は思わず「オタクくんの学園生活が始まってしまいました」と、ライトノベルのタイトルみたいなことをつぶやいた。