第65話 どうやら俺は汚物らしいです

 魔物キャッチャーのお尻・・から飛び出したと同時に付与術を解除し、俺は綺麗に着地した。


「お前ら持って――」


 人形を持ってきた俺にコボルトとゴブリンは寄ってくると思っていた。だが、遠くから俺を見つめている。


「ボス、う○こになったんですね」


「兄貴臭いますよ?」


「臭いご主人様も好きですよ?」


 お尻から出てきた俺は汚物扱いだ。決して俺が臭いわけではない。魔物キャッチャーのお尻から出てきたのが問題だ。


 それにしても空洞の中を通っている時の声は、コボルト達にも聞こえていたようだ。


「いらないなら返して――」


「ボスゥゥゥゥ! 愛してます!」


「よっ! 兄貴かっこいいぜ!」


「ご主人様はいつもかっこいいし、愛していますよ?」


 ダンジョンだけ少し感覚が違うが、薄情者には違いない。未だに距離感を保っているのだ。


 こいつらのために嫌な声を聞き続けて持ってきたのに……。


「ダンジョンにだけ人形をあげるよ」


 鞄からトカゲの人形を取り出す。この人形が一番見た目が気持ち悪く、ギョロとした目に羽が生えて、人形自体が大きめなのが特徴だ。


 人形ならつぶらな瞳で撫でたくなるのが普通だが、このトカゲだけ可愛さのかけらもない。


「えっ、ご主人様からの初めてのプレゼントですか?」


 ダンジョンはそれでも喜んでいた。そんなに喜んでくれるなら……と鞄に入っていたトカゲの人形を全て出した。


 赤、黄、青、緑、黒、白と全色品揃いは良いからな。


 気づいた時にはダンジョンの周りにはトカゲの人形で溢れていた。


「ダンジョンだけずるいです! 拙者にもコボルトちゃんをくださいよ!」


「オラも知的なゴブリンが欲しいです」


 ダンジョンだけ人形が貰えたことに二人とも拗ねているようだ。初めからそう言って近づいてきたら、拗ねることもなかった。


「仕方ないな」


 俺は二人に人形を渡すと嬉しそうに喜んでいた。少し可哀想なことをしたとハッとしてしまうぐらい喜んでいる。


 各々今持っている人形は全部で4種類。俺は残りの人型の人形を手にした。


 あれ?


 この人形って何のために取りに行ったのだろうか。時間が経ち人形を取りに行くことに集中して、目的を忘れてしまった。


『どうせ魔力が足りなくて、魔物に変換できないなら返してくださいよ!』


 魔物キャッチャーの声に俺達は魔物召喚をするために、人形を取りに行っていたことを思い出した。


「魔力を込めればいいんか?」


 俺達は人形に魔力を込める。ゴブリンだけ魔力の値はCだが、これも普通の魔術師レベルの魔力量だ。


 ちなみに俺とコボルトはS、ダンジョンに限ってはSSSと魔力の量は多い。


 俺達の魔力が多いことを魔物キャッチャーは知らないのだろう。


 魔力を込められた人形は次第に光を放ち、少しずつ姿を変える。


 やっと会いたかった奴らに会えると、各々が待ち遠しそうに人形を見つめている。


 いや、俺は別に人に会いたいとも思ってないけどな。だが、その期待も一瞬にして変わってしまった。


「なっ……なぜ拙者と似ているんだ」


「オラは頭が良いゴブリンがよかったです」


「トカゲ……これドラゴンですけど大丈夫ですか?」


 コボルトの前には毛がないコボルト達が。


 ゴブリンの前にはただのゴブリンが。


 ダンジョンの前にはやけに大きなトカゲが。


 そして、俺の前には全裸の女性達が溢れかえっていた。


 これは現実なのか?


 ああ、死にそうです。


──────────

【あとがき】

 クリスマスプレゼントとして、★のプレゼントを作者にお願いします笑

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