第36話 いざ、王都へ!

 外に出ると辺りは明るくなっていた。いつのまにか時間が経ち朝になっていたのだ。


 これはダンジョンの中の時間の進みが違うのかダンジョンで話し過ぎて時間が経過したのか……きっと後者だろう。


 俺達はそのままの足で王都に向かう。


 改めて考えるとはじめから二人を狭小化しておけばイヤーダ街に入っても気にはならなかったかもしれない。


 朝でもすでに中に入ろうと並んでいるところを見るとさすが王都だ。


 列に並んでいるとついに俺達の順番が回ってきた。


「身分証明を見せてもらってもいいか?」


 俺は門番に止められると身分証明書であるギルドカードを見せた。


 町の出入りに俺は特に問題はないが、問題になりそうなのが隣にいる二人だ。


「そっちは犬と子どもか?」


「拙者は――」


「そうです」


 俺は話し出したコボルトの口を急いで塞いだ。犬が話すっていかにも怪しいと言っているようなものだ。


「そうか。最近の犬は二足歩行でも歩けるんだな」


 忘れていたがコボルトは二足歩行で歩いていた。見た目はどこから見ても毛のない犬のため、二足歩行で歩いているのはおかしいと思われたのだろう。


 散歩の依頼を受けた時のコボルトは四足歩行だったから、こいつがおかしいだけなのかもしれない。


「いやー、こいつが特殊なのか昔から立って歩くんですよ」


「そうなんだな。子どももちょっと顔色が悪いから早く休ませてあげろよ」


「ありがとうございます!」


 俺はヒヤヒヤしながらも無事に王都に二人を連れて入ることができた。


 門番の頭が少し弱かったことが幸いだ。


 初めて入った街の中に二人はきっと喜んでいるだろう。


 そう思い顔を見てみると死んだような表情をしていた。


 二人の目を全く輝いてもいない。


「人間がたくさんいる……人間怖い」


「女だ……女がいるぞ」


 忘れていたがこの二人も俺と似て人間と女性恐怖症だった。


 あれだけついて行きたいと言っていたが、単純に離れるのが嫌だっただけだ。


「だからあのままダンジョンで待っていればよかったのに」


「そう言ってボスは浮気をするんですよね?」


「オラも好奇心に打ち勝つ強い心があれば……」


 改めて思うがこの二人は本当にめんどくさい。


 特にコボルトが覚えたての子どものように常に"浮気"を疑ってくる。


 そもそも俺は誰とも付き合ったことがないため、その感覚わからない。むしろ、付き合うとか死んでも無理だ。


 俺はコボルトとゴブリンを抱きかかえると、そのまま冒険者ギルドに向かった。

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