第25話 女子会① ※ソフィア視点

 最近幸運が重なりゴブリンジェネラルを討伐することができた。


あたい達も少しずつ強くなってきたね」


 私の言葉にルーダとモナも頷いていた。


 これも全てあの人のおかげだ。


 実はゴブリンジェネラルを討伐する前に私達はゴブリンに捕まっていたのだ。


 あの時は水浴びをしている時に、魔物が近づいてきて逃げたあとだった。


 一瞬気を抜いたタイミングでみんな一気に捕まってしまうなんて、クロウに怒られてしまう。でも、そんな私達を助けたのはクロウだった。


 幸いゴブリンジェネラルの魔石とゴブリンの群れの壊滅で装備も一通り揃えることができた。


「そうね。これもあの時クロウが助けてくれた結果よね」


「匂いですぐにわかったわ」


 なぜ、クロウが助けてくれたのがわかったか?


 それは私達がクロウの匂いを覚えているからよ。


 以前一緒にパーティーを組んでいた時なんて夜に部屋に忍び込んで、ひっそりと匂いを嗅いでたから知ってるのは当たり前。


 好きな人の匂いって落ち着くわよね。女性なら誰もがやっていることよ。


 現に同じパーティーのモナとルーダもやっていた。


 ちなみに今はクロウが着ていた服をみんな大事に保管している。


 立派な魔力精神安定剤ね。


 匂いを嗅ぐだけで魔力が高まっている気がするもの。


「それよりも最近街の中でクロウが人気になってるのは気のせいかしら?」


「それはあたいも思ったわ! クロウの後ろ姿を熱を帯びた目で見つめる人が増えたのよ」


「街の依頼を受けている時に見かけることが増えたから良いと思ったけど、こんなことになるとは思わなかったわ」


「そうだよね。でも問題なのは……」


「クラインよ!」


 私達三人の声は重なり合った。やはり考えていたことは同じだった。


「あいつクロウとの距離感が近いのよ! あたいらだって近づきたくても近づけないのに……」


 みんなもクラインとクロウとの距離感は気になっていたらしい。


 以前はそんなにクロウと一緒にいるところは見なかったはずなのに、パーティーから離れた途端にこの有様だ。


「きっとクラインもクロウを狙っているんだわ」


「さすがにそれはないんじゃないかな?」


 クラインって冒険者ギルドでも有名なほど女好きのはずだ。しかも、絶倫なのが重なって常に相手を探しているらしい。


 だから女性冒険者は自分達でどうしようもない時しかクラインの話に乗らない。


 冒険者は命懸けだから本能的に子孫を残そうとするのは当たり前だから、クラインの強い性欲も仕方がないのだろう。


 だからこそそんな冒険者達の中でクロウはガツガツとしない、紳士さのところが彼の魅力の一つとも言える。


「ソフィア何言っているのよ?」


「なにが?」


「最近じゃ男同士なのが楽だからって近場で済ませる人が増えているのよ? 王都なんてそんな人達を眺める女性達が増えているほど人気よ。貴族時代の友達が私にある本を勧めてきたのよ!」


 まさかの事実に私は驚いた。そんなことが流行っているとは……。


 モナが言うには貴族街の令嬢達から少しずつ流行っており、貴族の嗜みだったのが平民でも流行ってきているらしい。


 ちなみに一番流行りなのは公爵様と騎士の物語らしい。


「だからクロウが嫌でもクラインならわからないわよ」


「そうなの?」


 私はこういうところには疎いから二人が言うなら注意しておいて損はないのだろう。


あたいらもこんなところでぐずぐずしてる余裕はないってことか」


「そうよ! ルーダもソフィアもライバルは女性だけじゃないってことよ!」


「なら私達ももっと強くなる必要があるね」


「負けてられないよ!」


「明日からも女磨きするわよー!」


「オー!」


 私達はクロウに振り向いてもらえるように更なる女磨きをすると仲間達で誓った。


──────────

【あとがき】


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