第24話 鬼神
さっきまで彼女達に対して苛立ちを感じていたがいつのまにかその気持ちはどこかにいってしまった。
目の前には突然全裸の男が座っていた。頭にはなぜか角が生えている。
鑑定の魔道具を取り出してステータスを覗いてみた。
《ステータス》
[名前] ゴブリン
[種族] 魔人/雄
[能力値] 力SS/SS 防御SS/SS 魔力C/C 速度SS/SS
[職業] 鬼神
ああ、どこから見ても女性より恐ろしいのはこいつだろう。
コボルトの時も思ったが、レベル調整を使いすぎると種族が変化してしまうのだ。
ちなみに以前コボルトに"レベル調整"ダウンを付与してみたが、弱くならず種族もそのままだった。
ゴブリンが近づいてくると俺の服を掴んだ。
「お前ら、オラをどうするつもりだ!?」
「何もする気は――」
人間に危険なことをしなければ特にどうするつもりもない。
「そう言ってあの怖いやつらにオラを差し出すんだろう! お前ら人間はゴブリンの敵だからな!」
人間がゴブリンの敵なのかはわからないが、間違いないなく今こいつを人間に差し出したら人間が皆殺しになるだろう。
それよりも下半身に付いているものが、人間にとって危険だ。
大きな鬼がぶら下がっているのだ。
ふん、男は大きさが全てではない……。
俺は服を脱いでゴブリンに服を着させる。
「いや、そんなことをするつもりはないぞ」
「人間はすぐに嘘をつくんだ!」
「ボスは嘘をついてないぞ? そもそもボスはそんなに頭が回るほど良くない」
おいおい、この犬は何を言っているんだろうか。
「そうなのか? こいつアホなのか?」
そこのゴブリンも納得するんではない。俺に失礼だろうが。
「とりあえず何も悪いことをしなければ良いからな! 悪いけどお前がゴブリンを見張っといてくれよ。俺は疲れたからとりあえず戻って休んでくるわ」
とりあえずめんどくさいことはコボルトに任せればどうにかなるだろう。
あいつも種族が進化した魔物だからな。
魔物同士であれば、何か通じるものがあるはずだ。
「ハイ! イエッサアアァァァ!」
ゴブリンが何か悪さをしないようにコボルトに監視させて帰ることにした。
♢
俺が冒険者ギルドに着くと中が騒がしくなっていた。とりあえず食事処のテーブルに座り酒を注文した。
やけ酒だ。もう飲まないとやってられない。
「さすがソフィアさん達だわ!」
「いや、私達は――」
「ゴブリンジェネラルを倒して女性達を救ったじゃないですか! 冒険者の鏡……いや、女性冒険者の憧れの存在よ」
「いやいや、それほどでも――」
「ルーダ鼻の下が伸びてるわよ」
「だって
「それはそうね」
きっとゴブリンの群れを壊滅させたことをギルドに伝えたのだろう。
ほとんどは俺がやったことなのに……。
「はぁー、考えるだけでイライラするな」
「おっ、そんなにため息をついてどうしたんだ」
声をかけてきたのはクラインだ。
最近やけに俺に絡んでくることが多くなった。
唯一冒険者で話しかけてくれるのはこいつぐらいだ。
「いや、特に何もない」
俺は酒を飲み終えると帰るために立ち上がる。
だが疲れが溜まっていたのか、そのままふらついてしまった。
「大丈夫か?」
ふらついた俺をクラインは支える。こんなこともスマートにできるクラインだからこそ女性にモテるのだろう。
――バン!
どこかで大きな音が鳴っていたが、ゆっくりと体を起こす。
「ああ、助かった」
「これぐらい構わんぞ! 何があったかはわからんがあまり飲みすぎるなよ」
「ああ」
どこまでこいつはいい奴なんだろうか。何か一つぐらい悪いところが……。
「そういえばこの間悩みがあるって言ってたよな?」
「なんのことだ?」
「確か……絶倫っ――」
「お前こんなところで言うなよ」
俺はクラインの手で口を塞がれると、さらにどこからか大きな音が鳴っていた。
誰か踊りでもしているのだろうか。
「まあ、いいことがあるといいな!」
俺はそう言ってふらふらしながら立ち去った。
「ん? あいつやっぱりおかしいな?」
唯一の友達であるクラインの悩みが解決するようにな。
「エンチャント"状態異常"性欲低下」
絶倫って結構大変だって言うもんな。クラインよ、俺からのプレゼントに感謝するがいい。
──────────
【あとがき】
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