美女ばかりのパーティーを追放された付与術師の俺。なぜかスローライフを監視されているんだが？

第6話 復讐じゃああああ！

　俺は彼女達を後ろから追いかける。

　一瞬門番から変な顔をされたが、俺の存在を感じ取っていたのだろう。

　中々仕事ができる門番だ。

「あいつら本当に大丈夫なのか？」

　森に入った途端に三人ともキョロキョロしながら歩いていた。

　前までは特に警戒をすることがなかったはずなのに、ゴブリン相手にそこまで警戒する理由がわからない。

　武器が壊れやすくてもソフィアの魔法ならすぐに倒せるだろうし、ルーダの力ならゴブリンでも拳一発で一撃なはず。

　そんなことを思っていると俺は木の根に足を引っ掛けてしまった。

　どうやら考え過ぎて足元への注意が欠けてしまったようだ。

――ガサガサ！

　せっかく茂みに隠れていたのに、彼女達はピクリとして俺の方を警戒している。

　警戒した方が良いのはその先にいるゴブリンだと思うが……。

――クイクイ！

　俺はクイックバードの鳴き声を真似した。

　すると彼女達は警戒を緩めた。

　いやいや、気を緩めてる場合ではないだろう。

　クイックバードって弱いけど魔物には変わりない。

　ただ、ゴブリンより攻撃力が弱いだけだ。

　次の瞬間、ゴブリンが後方から襲ってきた。

　それでもどうにか彼女達は対応できている。

　やっと俺の復讐が始まるんだ。

　少しは武器の耐久度を上げたため、いいところで武器が壊れて彼女達はそのまま襲われるか逃げるかの選択肢を選ばざるを得ないだろう。

　ははは、やっとどこか俺の心の中がスッキリするような気がした。

♢

　スッキリするような気がしたのは、やはりしたような気になっていただけのようだ。

　なぜこんなことになっているのだろう。

　彼女達が手にしている武器は全然壊れないのだ。

　むしろルーダの武器が少しずつ輝き出している。

「どういうことなんだ……」

　俺は急いで魔道具を装着してルーダが持っている剣を鑑定した。

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《成長の剣》

レア度　★★

説明　ダンジョンで稀に発掘される謎の剣。魔物の魔力を吸収して攻撃、耐久性共に増加する。魔物を倒した分だけ成長する。

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　まさかダンジョン産の外れ武器があんな性能を持っているとは思いもしなかった。

　彼女達も剣を不思議そうに眺めているが俺も驚きしかない。

　だって……魔物を倒すこともできない武器が魔力を吸収して強くなるなんて誰も思わないだろう。

　むしろそれを知っていたら耐久性増加なんてしなかった。

「次の作戦を考えないといけないのか……」

　俺は次の作戦を考えるために街に戻ることにした。

――ガサガサ！

　また俺はさっき引っかかった木の根に足が取られてしまった。

「やはりあそこに魔物がいるわ」

「ちょうど魔法の詠唱が残っているわ。ウインドカッター！」

　気づいた頃には後ろから風属性魔法が放たれていた。

　なぜ俺が攻撃されないといけないんだ。

　咄嗟に転がり木の後ろに隠れる。

「倒したかしら？」

「いや、ただ風が吹いただけだったようね」

「じゃあ討伐の証拠として魔石を取って帰りましょうか」

　彼女達はさっきまで俺がいたところを確認しに来たようだ。

　何もいないって分かるとゴブリンの魔石を取り出して街へ戻って行った。

「あー、チクショー！　なぜ俺が攻撃されなければならないんだ！」

　俺は次の復讐を企てるヒントを探すために彼女達の後ろを追いかけるように街へ帰ることにした。