第15話 戦争の行方は……

 俺が確かな決意表明を行っている内にも時は着々と進み、いよいよ矢が飛んでくるだろう場面に相成った。


 事態の進行が以前とは違って早まっている関係で全く同じと言う訳ではないが、周りの状況が一致しているのでそう断言しても問題はないだろう。


 そして、遂にその瞬間が訪れた。


 結論から言うと、肝心の矢は……飛んで来なかった。


 いや、飛んでは来ていたが、その軌道はユメオの身体に当たる様な物では全く無く大きく外れており、その威力も少しも有る様には見えずへろへろな物だった。


 俺は一瞬、今のは違うよなと目を疑ったが、残念な事にそうではなかったようだ。


 序でに言うと、二の矢や三の矢も無かった。


 全く持って期待外れであった。


 まあそれはともかく、ユメオはこの状況下での死の運命を完全に回避したと言っても良いだろう。


 後はこのまま戦争に決着が着けば一番良かったんだが、そこまでは贅沢だったのか翌日まで戦闘は継続するみたいで、夕方になると双方とも名残惜しそうに自陣へと引き揚げて行った。


 さて、兼ねてからの希望通りこの日での死は回避出来たみたいだが、まだまだ油断出来る様な段階では無い。


 まだ明日も続けての戦争なんだから、気を引き締めて掛からないとあっさりと死んでしまっても何ら不思議でもないし。


 しかし考えてみると、アレだよな。


 今回はどうして死を回避する事が出来たのか、甚だ疑問だよな。


 ちょっとその辺を突き詰めて考えてみるか。


 まず何時もと今回で何処が違うというのか?


 顕著なのは時期が早まったというのが有るな。


 だがオレ村の陣容は何時もと変わらなかったみたいだし、そのお陰で矢が撃たれる場面までは特に変化は見られなかったと思う。


 そうなると変化が有ったのはトナ村側という事になるが、向こうで何かが有ったという様な情報は一切掴んでいない。


 まあ戦争相手に内情が筒抜けなんて事が有ったら、その方が大問題だろうがな。


 そんな状態で俺が分かっている事というのは、ユメオ達がトナ村で二人程事前に倒してしまったという事位か。


 そうだな。もしかしたら死んだ方か怪我した方かは分からないが、どっちかがユメオが死ぬ矢を撃っていたのかもしれないな。


 うん。何かそんな気がビンビンしてきたぞ。俺の感は良く当たるんで有名だからな。


 まあ真実は得てしてそんなもんだろう。


 そんな感じで翌日も元気に戦争だ。


 俺の心配を物ともせずに、ユメオは村人への指揮に奮闘して二日間の戦争を生き延びた。


 そう。無事に生き延びられたのだ。


 これで取り敢えず、直ぐ死ぬ様な事態を心配する必要もないと思われる。


 トナ村とは暫くギクシャクするだろうから、自分から近付いて行くような馬鹿な真似は多分しないだろう。


 これで次に死ぬ時まで、何れだけの時間が稼げたというのか。


 まあ、此処からはゆっくりと時間を掛けて、ユメオの異世界生活を堪能して過ごし確認するとしよう。
















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