第14話 死ぬ運命の回避は……
取り敢えず夢の時間を進ませる事にはしたが、ただ時間を捨てるのでは無く、この機会に夢に干渉出来る方法が他にも無いか色々と試してみる事にした。
今までの干渉方法は気分を悪くさせる事によって、現在行っている行動を阻害する形だった。
だが、考えてみると気分を悪く出来るって事は、逆に気分を良くする事も出来るんじゃないだろうか?
今まで気分を悪くさせる時には、これまでの人生で起こった嫌な出来事の記憶を思い出していたが、気分を良くさせようとするのなら逆に嬉しかった出来事やワクワクした時の記憶を思い出せば良いんじゃないか?
そう考えて、特に行動によって運命が左右されない場面を選んで試してみた。
そうすると、ユメオは今までに無い精神状態の変動に初めは戸惑っていたが、それを何度も繰り返す内に、この異変も今までの気分が悪くなるのと同様だと気が付いた様で、直ぐに順応してきた。
うん。こういう事に早く気付くっていう辺りからも、ユメオってば結構頭が良い方なんじゃないかと推測出来る。
自画自賛では無いが、やはり夢の中とは言っても俺は俺だという事だな。
え? しがない三流大学生が何を言ってるんだって?
俺が言ってるのは、勉強が出来るとか出来ないとかでは無く、その時々によって行う判断力の良し悪しに関する事だ。
良くいる馬鹿な事をやってしまう奴というのは、そこら辺が劣っていると言える。
それに言い訳するようだが、あの大学に通っているのは近所に他に工学部の有る学校が無かったから、仕方なくなんだよ。
まあ、そんな事は今はどうでも良い。
兎に角、試した方法は案外上手く行きそうな手応えが有ったので、次の夢の時には初めから使って行こうと思う。
等と色々やっている内に、既にトナ村との武力衝突が始まっていた。
何か何時もよりも早い推移で始まったみたいだけど、これはどうして何だろうか?
やっぱり、何時もより双方とも士気が高まっているのが原因なんだろうか?
こんな感じだと、何時もの時間軸との比較とかが意味を成さないんじゃないか?
まあ、今の所この時間軸は良い具合に進んでいる様なので、次からは今回の物を基本にしても良いのかもしれないが、それも目的である矢で撃たれての死の回避が出来ていなければ話にもならない。
そう。人は何時かは絶対に死ぬ運命に有る。
今行っている事は、ただの延命行為に過ぎないんだ。
その事には、大分前に気が付いてはいた。
だから自分が四苦八苦して努力しても、意味が無い事なんじゃないかと思った事もある。
だが、あの死の苦痛の前にはそんな事は二の次である。
アレだけは何としても避けなければ、最後には俺の気が狂ってしまう未来しか見えない。
そんな事を避ける為には、ユメオには寿命で死ぬまで生きてもらい、それで稼いだ時間内に何かの突破口を見付けるしか方法が無いんだ。
それだけが、俺の生き残る道に他ならない。
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