第9回 俳句でお題に挑戦「新米」

 湯気浴びて 黄金こがねの坊主 かじりつく














 新米と聞いて、お米を想像された方も多いのではないでしょうか。私は「初心者」の意味も思いつきました。


 想像したのは部活の風景。


 夏の大会を機に頼れる先輩はいなくなり、組織の代替わりによって不安定な時期を迎えます。新人戦も近くなっているのでしょうか。


 顧問の先生にも焦りが見え始め、日頃の練習メニューがより強度を増します。


 もう「一年生だから」は通用しない。


 家に帰るころにはエネルギーを使い果たし、台所で炊きあがった新米のにおいが鼻腔を刺激する。手洗いを済ませ、配膳を手伝うと言って炊飯器のスイッチを押す。


 高熱の水蒸気と共に、ぎっしりと炊飯窯に詰まった飯粒から発せられる匂い。


 早く食べたいと、よそい終わって食卓に並んだご飯の、白米をむさぼります。


 本当に空腹な時は、白米だけでも行ける。ましてやそれが新米なら猶更だ。


 明日の練習について行けるように、精一杯ご飯を胃の中に詰め込んでいくのです。


 この俳句はそんな、秋の風景を切り取りました。

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