第14話 意味は作れる

まえがき ミーアちゃん復活。




 私はこれからどうするべきなんだろう? ホーエンという血を引いてるから価値がある私、もちろんグロスター家に居ていい存在じゃない。かと言ってホーエン家に戻っても無価値なまま。


 これならいっそ私の価値なんか見出さずに死にたかったな。グロスター家に嫁ぎ楽しいを知ったせいで、自分が余計に惨めに思えてしまう……


「お前、まさかオレの両親に挨拶をしないつもりなのか? さっさと戻ってこい」


 混乱していたせいか、いつの間にか後ろにいた彼に気づけなかった。


「お前の過去が何であれ、オレはどうでもいい。ただお前はそれなりに有能だ。グロスター家においても価値がある」


「え……」


 強引にも私の腕を引っ張り連れ出そうとしやがった。でもまぁ……いっか! もうちょっとだけ楽しんでも文句は言われないよね! 私の未来もこれから!




・ 



「えっと、その、こんにちは……」


「あらやだ。まだ朝方なのにその挨拶は早すぎるんじゃない?」


 ホールに飾られている時計を見ると、針は12:00より前に置かれていた。お義母さん……と呼んで良いのか分からないけど、お義母さんは優しく指摘してくれた。お義父さんの銀髪の奥にある瞳はアーデルハイト様を捉えている。


「アーデルハイト……お前、妙な笑顔浮かべて……どうした?」


「! そんな訳ない。疲れて目がぼやけてるんだろう。ほら二階の自室に戻っててくれ……!」


 そう言いながら、アーデルハイト様は両親をこの部屋から追い出した。すると隣りにいたアンナは心配そうに尋ねてきた。


「大丈夫ですか? その先ほどは……」


「大丈夫! 急に走りたくなる日ってあるでしょ! ね!」


「はい! あ、わたしも走ってきます!!」


 えぇ……? そんなのないでしょ……疲れてるんだねアンナ。休みが取れるようにアーデルハイト様にお願いしておくね! 



 さて、一人になっちゃったわね。今日はもう疲れたし部屋で大人しくしようかな。


 ぐぅーぎゅるる。部屋でぐーたらしてたらお腹が鳴ってしまった。……あれ、いつもはアンナがご飯を届けてくれるけど、今日はどうなっちゃうんだろう? うーん、エメとかが持ってきてくれるのかな。


「ゴホッゴホッ……すみません、お食事を届けるのが数分遅れてしまいました」


 本当に走ってきたんだアンナ……息も上がっているし、アンナの開けたおでこには汗もついている。もしかして、本当に急に走りたくなる日ってあるの……?


「え、ええ。ありがとう」


「それとこの後、ジューナ様がお話をしたいと……」


 ジューナ様? いったい誰なんだろう? グスタフ(お父さん)がその人のことを話してた気がするけど、うーんどういう人だっけ?


「では失礼します」


 ジューナ……グスタフが昔、婚約したい相手とかって言ってた気がするなぁ。ホーエンとグロスター、かなり溝が深い感じがするわね。




あとがき 次回はアーデルハイトにスポットを当てます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る