第12話 人を助けるにも力がいる
まえがき アンナちゃんをメイン視点にしてます。文体とかも違うので違和感あるとおもいます。どうしてもムリでしたら読み飛ばしてください。
<六日目>
わたしの家には父親がいなかった。けれど、それが悲しい気持ちになったりすることはなく、むしろお母さんと楽しく暮らせられて嬉しかった。幸せだった。あんなことになるまでは……
「ごめんねぇ、アンナ。いつもポタージュしか食べられなくて」
お母さんはいつものように謝っていたけど、ちょっと様子が違っていた。不思議と明るげな声でお母さんは続けた。
「実はね……ここの領主様(グスタフ)に召使いにならないか、って誘われたのよ! まだまだお母さん捨てたもんじゃないわね!」
「そっかぁ、すごいねお母さん!」
正直に言うと、今すぐにその話を断ってほしかった。その領主は女好きで、自分の好みの女性しか召使いとして雇わないと有名だったからだ。なにより今のままの生活でも満足していたし、お母さんとの暮らしは不自由じゃなかった。
それからしばらく経って、お母さんが召使いの仕事になれ始めた頃。お母さんはすごく疲れて帰ってきてた。話を聞くと、「あなたと同じくらいの年齢の子がいてね……いややっぱり何でもない!」という情報しか手に入らなかった。
気には止めず、何週間は経ってしまっていた。そして、ある日お母さんの様子がおかしいことに気が付いた。
「ただいまー! アンナ、待たせちゃってごめんね。すぐにご飯の準備するから!」
声だけは元気そうだった。しかし、お母さんは着たこともないような長袖を身に着けて、それはなにかを隠すような長い袖だった。わたしは「うん」としか返事を返せなかった。
「ただいまー! アンナ、すぐご飯の準備するからね!」
「えっ! お、お母さん! なんで頭に包帯巻いてるの!?」
声は相変わらず元気そのものだった。けど頭には包帯がぐるぐると巻かれ、まるで重症人にしか見えなかった。わたしの一緒の金混じりの髪も隠れてしまっていた。
「大丈夫、大丈夫! ちょっと階段で転んだだけだから!」
わたしが心配事を口にしても、お母さんはそれを突っぱねて「大丈夫」と何度も言ってた。いつの間にか夜は終わり、お母さんの出勤の時刻になってて、わたしはお母さんの家から出ていく姿しか見ることが出来なかった。
お母さんがその仕事をしてから三ヶ月過ぎたとき、母は完全に壊れていた。大丈夫?と聞くだけだったのがいけなかったと思う。
わたしの大丈夫?に対して、今も寝続けているお母さんは苦しそうに答える。
「ホーエン家との女の子を助けようとしたら、こっちがやられちゃった。お金は結構貰えたからアンナは心配しなくて大丈夫よ……」
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違う土地に移りお母さんの体調を治すことに専念した。だけど、引っ越しだったりで出費は重なったから仕方なく侍女としてグロスター家に尽くし、はや数ヶ月。ある女がやって来た。
それはミーア・ホーエン。殺そうか迷ったけど意地悪だけで一旦は許してみた。殺しても良かったけど、お母さんが悲しむから辞めた。だけど……
だけど……
わざとみすぼらしい格好をして、グロスター家へ媚びるように感謝しやがったり、他の侍女と仲良さそうにして、許せなかった。あと、アーデルハイト様からアイツ(ミーア)の世話を頼まれて天からの恵みだと感じた。殺せって意味だと。だからスラム街の連中に頼んで死なない程度に地獄を味合わせることにした。
でもアイツはわたしを庇った、自分の身も差し出した。アイツの殴られた姿を見て、わたしは病んでしまったお母さんと重ねてしまった。
だから復讐は一応だけど辞める。辞めてミーアを観察することにした。
「ミーア様、化粧はこのようにやるんですよ」
「へぇー! あっ、髪の手入れってどうやるの?」
本性を現すまで。
「ううっ、頭痛が止まらないぞっ!!」
なぜかアーデルハイト様は苦しんでた……お仕事のし過ぎなのかな? 両親のサポートなしで領主をするって大変なんでしょうね……
あとがき そう! ミーナちゃんのお話にもあった助けてくれた女性って言うのは、アンナちゃんのお母さんでした! アンナのお母さんは自分が傷つくのはオッケー(長袖着てたとき)だったけど、ミーナを虐めろって命令が来て虐めてしまいました。そのせいで病んでしまいました。ちなみにエリザベス主導だったらしい……!
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