第9話 家の中でも
まえがき 更新してなくてごめんなさい
<三日目>
「ふぁーぁ。昨日はたっくさんお喋りしちゃったから眠い……」
部屋にある鏡と櫛で髪の毛を整えながら、楽しい思い出を思い返す。アーデルハイト様はこういうお方だ、メイドさんの恋愛事情、いろんなことを知れて楽しかった。
でも今日は彼女たちに会いに行けない。
当主様(アーデルハイト)の命令で「外に出るな」と言われちゃったの。でも良いの。会えなくなるわけじゃない。
ホーエン家ではメイドさんとお友達になったなら、そのメイドさんをイジメ抜いてた。お友達ではなく、私を助けただけでも徹底的にイジメた。そのせいで私とお友達になった人たちは、仕事を辞めるか、イジメる側になるかの二択になる。まあ、ほとんどの人はイジメる側についていったけどね!
そんな実家(ホーエン家)と比べたら、外に出ないだけで済むなんて優しい!
でも……
でも……
「ヒマすぎる!」
なにかしようにも私には趣味と言えるものもない。裁縫とか編み物もやってたけど、身に付けてくれなかったし、燃やされたりという始末。
あーあ、外を眺めるくらいしかやることないなー。おっ、メイドさん達がいる。手が荒れてしまおうとも、外で食器洗いしてたほうが楽しいんだろうなー。あっ、メイドさん達こっちに気がついたみたい! 手を振ってくれてる! いいなー、当主様の命令に背いちゃおうかしら……
あとはー鏡を見ることしかやることないかな? グロスター家に来てからお風呂入ってるから、髪にスルスル手が入るし、艶のある黒髪がとってもキレイ! 初めてこの髪が好きになってきたかも!
ん? よく見たらちょっとだけ鏡が曇ってるのかな? 暇つぶしに部屋掃除でもやっちゃいますか! 水で拭いてもあんまりキレイにならないので、ある液が役に立つ。実家からくすねてきた東洋の米を使って洗剤を作る!
米酢をバッと作って……そこらへんの花をジャジャッと入れて……オイルの完成! これで拭くと窓とか鏡、もう色んなものに使えるの!
さて……いっちょやりますか!
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ちょびっとだけホコリ被っていた私の部屋は、新品同様に生まれ変わっていた。時計を見ると12時を指していた。もうお昼ご飯の時間! 食事が楽しみになるのは久しぶり、残飯とかゴミ食べるのは苦痛だからね!
コンコンと扉をノックする音が聞こえた。その音の主はエメで、驚いたような表情をしている。
「お食事のご用意が……えっ」
「かなりキレイになったわよね。えへへ、どう?」
床も掃除してたから、扉の先にある廊下の違いがハッキリと分かるほどだった。エメもそれに気づいている様子だった。
「綺麗すぎて……廊下とこの部屋の違いが……その、まぁはい」
「廊下も掃除していいかしら? ねえエメ」
私はパンとスープを口に入れながら彼女に聞いた。ちらりと見た皿は、油っぽくない皿で、気分が良かった。
「えっ……え!?」
「良いわよね?」
エメは首を縦に振ったが、すぐに青ざめた。あっ間違えて頷いちゃった、当主様に許可取ってない、などと後悔しているようだ。
許可取れたし、廊下もやっちゃいますか!
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エメから貰った掃除道具で廊下を掃除していく。それはもうピカピカすぎて、滑ってしまいそうな、鏡のようだった。
掃除の音がうるさかったのか、近くの使用人部屋から数人の侍女がやってきた。
「これを夫人が?」
「食器洗いでも話題になってたけど、すごく綺麗ね」
すっごく褒めてくるタイプの人だったから、いろいろオイルとか掃除法とかね。いっぱい共有しちゃって仲良くなちゃった!
<四日目>
「えー!当主様って……」
「そうなのよ、実はね……」
上の階から聞こえる侍女とミーナの笑い声を、アーデルハイトは聞いていた。
「あぁ、もう頭痛が止まら──
「「エー!! キャー!!」」
「……ハァ。もうどうすれば良いんだ」
あとがき 1週間以上更新なかったのは、年末って立て込むよね。
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