放置なのか……右も左も分からぬのに

りょうさんに呼び止められたけど

帰らなきゃいけない時間だし


「時間がないの どうする?

家にかえれる?」

そう問いかけた

家ってどこなのかな?


「ぬ! 今 宮には帰れぬと思われる」


「宮?」

あ また そんな話をしている暇はないのに すぐ聞いちゃう


「あー 時間ないので どうします?

うちくる?」


「良いのか?」


良くはないかもだけど

時間が無いのも良くない


自転車に跨りかけて


「でも そのまんまじゃちょっと目立ちすぎだよね 変身出来る?」


至極普通の問である


「変身……龍にか?」


「そんなわけありません……」


「そうであるな…」


沈黙が流れ……



「先程から気になっていたのだが

環から 雷を感じるのだが

もしや 雷を使えるのか?」


「はい?」


「いや 雷の気配がするのだ

弱々しいが 我も雷を使うので 感じることができるのだ」


雷を使えるわけは無い

雷 雷 かみなり……か


「もしかして これのこと?」


ポケットからスマホを取り出し見せた


「おお!それから雷の気配がする!」

りょうさんが指差す


「なるほど これはスマートフォンと言いまして 便利な機械です 雷と言われるのは 多分これが電気を使っているからかな?」

そう言って スマホを操作し始めると


「おぉ!先程より雷を感じる!」

興奮しているようだ


「環 我はその中に入っていけるぞ」


「え?」


「雷を使うので 同じ感じのする そのスマーなんとかに 同居することが出来る」


「同じ電気を使うからっていっても…」


「我の神力を使うのだ」



しんりょく………なんだろ


「やってみてもよいか?」


「壊さないなら……」


「それでは……」

りょうさんは 片手で拝むような仕草をして 小声でなにか唱えると

居なくなった


「えー?しんさん?どこよ?」


するとスマホが明るくなり

画面で人が動いている


動画が流れているよう

よく見ると………

いたよ…しんさん……


摩訶不思議な状況であるが……


「ま いっか じゃあ帰るから」


「お願いするでござる!」




そんな状況を軽く受けとめて

パニックにならないのは

世代なのか…

でもそれ言ってたら 話にならないので

掘り下げは止めよう…



スマホに入ったりょうさんをつれて

自転車を漕ぎ始めた環


「やばいなぁ 遅くなっちゃったよ」


「申し訳ない」


「わぁ びっくりするから!」


「申し訳ない」


これは ルールを決めとかないと

駄目かな?

すぐに家族にバレそうだし

あ でも るなちゃんには話しとこう!

色々と知恵を貸してもらえるかも

あと りょうさんの 家庭の事情も

聞かないとな

きゅうって…小公子とか

東海帝王とか なんかよくわからない

その辺りもちゃんと聞かなきゃ


暗い中をひたすら自転車を漕ぐ環であった

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