第6話 門松
俺は友人と酒を飲んでいた。
「焼豚とキャベツ盛り、後、生二つお願いします」
「ハイ、よろこんでー!」
ちょっとケバイおねーちゃんの笑顔を見送り、再度友人に聞き返してみた。
「楽天の画像でヌイただと?」
この友人、とりあえずAとしておこう。
Aは先日、楽天にて最高のオナネタを発見したと言う。
基本的にamazonユーザーである俺だが、楽天にもアダルトな動画やグッズがあるのは知ってる。
しかし、Aいわく、そんなありきたりのモノではないと言う。
「俺は、運命の赤い糸を感じたね、『門松』ってヤツに」
何を言ってるのか分からねーだろうが、俺だって困惑したぜ?
門松でヌク友人なんて嫌だろう?
Aの話しが聴こえてたのか、後ろの席のOLがギョッとした顔で俺達を振り返ってた。
「今後の付き合い方を考えさせてもらう。じゃ?」
迷わず席を立とうとした俺。
「待て!まてまて!誤解だ!もう少し詳しく言うと、門松をアピールしてるお姉さんでヌイたんだ!」
必死で誤解を解こうとするA。
どうでもいいが、声がデカい。
後ろのお姉さんは少しホッとしたようだが、俺も数少ない友人を失わずにすんでホッとした。
しかし、更なる疑問も浮かんでくる。
門松とエロスなお姉さんの構図が全く思い浮かばなかったからだ。
門松と一発ヤッてる友人を想像できるくらいには、俺も想像力には自信アリな方なんだが。
「脚がな、最高なんだよ!アレで首絞められたら死んでもいいわ。とりあえず、ストッキング越しで顔踏まれたい。パンプスとか脱ぎたての脚で」
興奮してるせいでAの声が無駄にデカくて、再度振り返ったお姉さんはドン引きしていた。
つーか、恥ずかしいから俺の方を見ないでほしい。
変態は俺ではなく、Aだけなのだから。
「じゃあ、ちょっと、その画像を見せてよ」
脚フェチのAが絶賛するエロスな門松レディーに興味が湧いたので、ちょっと見てやろうとしたのだが。
「いや、無理。恥ずかしいわ!何でお前に紹介しないといけないんだよ!」
イヤイヤ、友人として、これで一児の父親であるお前の存在を恥じている。
なんだよ、紹介って。
友人いわく、オナネタを俺に知られるのが恥ずかしいらしい。
色々と今更だがな。
コイツと行ったシートの低いピンサロで楽しんだ時も、デリヘルでデブ腕を組まれて部屋へと連行されてるのも見てきた俺にとっては、今更の話しだ。
「今更かよ」
「違うんだ。俺がコレでオナニーをしたって言う真実を目の前で見られるのが恥ずかしいんだ。なんか、お前にレイ○されてるみたいで!」
イヤイヤ、最後の方、声張り過ぎなんだけど、後ろのお姉さん興味深々なんだけど。
なんで俺が、お前をレイ○せにゃいかんのだ。
「お前、疲れてんだよ。今日はもう早く帰ろ?な?」
嫌そうな顔でこの場をお開きにしようとする俺にAは言った。
「違う違う!精神的なヤツ!精神的レイ○!わかる!?」
「まるで。お姉さんは分かります?」
後ろのお姉さんが俺達の会話に興味深々なので、ちょっと話しを振って見た。
いきなりの振りにビックリしていたが、「なんか、少しだけ……」と、Aの気持ちを肯定するような返答だった。
彼女の連れも少し驚いていたが、顔はそれほど好みではないのでどうでもいい。
この後、ドラマチックな展開で恋に落ちた俺達は……
そんな甘い期待など打ち砕くかの如く、彼女達の連れの男二人がやって来た。
男連れのくせに、アダルティーな会話に乗ってくんじゃねーよ!
まぁ、そんな事はどうでもいい。
俺は検索した。『楽天 門松 』を。
ビンゴ!
ちょっと"とうが立ってる"感は否めないが、確かにいい脚してる!
ちょっと一昔前のドラマの『ショムニ』を思い出すようなミニスカOLが「コチラですぅ!」と言わんばかりに門松をアピってる画像を数種類発見した。
Aが悶絶するなか、見てる内に俺もなんだか段々ムラムラしてきた。
「今日はコレにするわ。俺、帰るね?」
「お前!ふざけた事抜かしてんじゃねーよ!俺の門松さんをレイ○する気だろ!俺の門松さんを汚すなよ!」
「お前が言うなよ」とは思ったが、口には出さなかった。いや、エロい意味じゃないよ?口内射○的な意味じゃねーから。
俺は、おもむろにスマホを取り出し、とある人物へとコールした。
「もしもし?A嫁ちゃん?元気?うん、俺はいつも通り元気。A息子は?もう寝ちゃったんだぁ」
「お、お前は、何をしているんだ?」
「そう、旦那借りて悪かったねぇ。うん、ここに居るよ?もう帰る所。うん、ありがとね!じゃあ、今度遊び行く。なんか伝言ある?ハハハ、それもそうね。じゃあ」
「お、お、お前ってヤツは!脅すのか!俺を!」
俺はAの嫁さんとは仲がいい。コイツと結婚する前から嫁さんとは知り合いだったし。
乳と尻を愛する俺には、異性として刺さらなかったが、Aにはドストライクだったらしい。
「今夜の門松レディは俺が頂く。テメーは嫁でも抱いてろ」
俺は、飲み代も払わず店を出ると、どのオナホが一番『門松さん』にしっくりくるか考えながら駅へと向かった。
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