第十四話【✨】
『宵闇の世界からこんばんは。 幽世九十九です。本日は毎月恒例の収益化を果たした同業者さんを呼ぶ企画、収益化Vさん遊びましょ! のお時間です』
〔 幽世九十九のチャンネルにて、コラボ配信が始まった。九十九恒例の挨拶から始まった配信のコメント欄には九十九のリスナーの他にゲストのリスナー達のお邪魔しますというコメントが書き込まれていく〕
『今回のゲストは自称TS系Vtuberの神乃ヒカリさんです』
『み、みなさんこんライト〜。TS系Vtuberの神乃ヒカリです』
『おやヒカリさん。緊張してますか? 駄目ですよ、ちゃんと台本通りに自称の所にツッコミしてもらわないと』
【メタいw】
【メタw】
【藻】
【芒】
【蒲】
【台本てw】
【そんなこと言っていいんかw】
『あ、マジでガチのTS系Vtuberです!』
『はい、よく出来ました〜。というわけでヒカリさんに来てもらったわけなんですけど、随分と緊張しているご様子ですね』
『昨日までは全然平気だったんですけど、その、今日になって急に緊張して来ちゃって、もう手のひらに跡が残るんじゃないかってくらい人書いて飲んでます』
『流石に緊張しすぎじゃないでしょうか……この後が心配になりますね』
『えっと、その、頑張ります』
『さて、どうなることやら。と、気を取り直しまして、今日の配信は前半は私がツイーターで募集した質問等に2人で返答していき、後半は狩猟デートと洒落込もうと思っております』
『で、デデデ、デート!?』
『言葉の綾ですよ。そんなに慌てて……可愛いですね』
【確かにかわいいな】
【うん、かわいい】
隠北斎【そうだろそうだろ。ヒカリはかわいいんだ】
【擦れてない感じがいい】
【隠北斎ママ親バカやんw】
【え、隠北斎先生!?】
『ではでは、そろそろ始めたいと思います。まず1つ目の質問。お互いの第一印象を教えて下さいとのこと。定番の質問ですね。まずは私から。TS系という事もあってどんなキワモノが出てくるのかと最初は少し不安でしたが、普通に可愛くて普通に真面目ないい子という印象でしたね。それでいて元男子という事もあり、男の子らしい気さくな配信がリスナーに受けているんだろうなとも思いました』
【なるほどなぁ】
【確かにかわいいな】
【普通にw】
【まあ、確かに遠慮はないよな。お互いに】
『えっと、俺としては、他のVというか個人勢は元々1人しか見てなかった事もあって、コラボの誘いを受けてどういう人なのかなってアーカイブを見たんですけど、なんていうか落ち着いた雰囲気の人だなって印象を受けましたね。名前の感じからして和風というか妖怪イメージなんでしょうけど、見た目とすごくマッチしてるなって思いました』
【見た目はね】
【見た目だけはね】
【確かに普段は落ち着いているね】
【基本は落ち着いてるね】
『え、何このコメ欄……普段はとか、見た目はとかあるんだけど……え?』
『さ、さぁ、次にいきましょうか』
『ちょっと!?』
【草】
【草】
【林】
【草】
【木】
【蔦】
【芹】
【なんか、変な文字が混ざってるんだけど……】
『次の質問は、特技を教えてくださいとの事。この名前は私のリスナーですね。多分私のことは知ってるでしょうけど、改めて言うと、私は歌には少しだけ自信がありますね。定期的に行う歌枠ではそれなりに良い評価をいただけていると思っております』
『特技……特技……特技? だめだ思いつかない。ねぇみんな、俺って何か特技と呼べるものあったっけ……?』
『……リスナーに聞く人は初めて見ましたね』
【ヒカリに特技なんてあったっけ?】
【……だめだ。思いつかない】
【思い……つかない!】
【ごめん。私古参ライトメイトを自負してるけど、ヒカリの特技が思いつかないや】
『えっと、特技はないみたいです』
『何かすみません……』
『『…………』』
【お通夜会場はここですか?】
【空気が死んでる……】
【なんか、変な質問してしまってすみません】
隠北斎【ま、まあ、特技が無ければ無個性ってわけじゃないし、別の部分で強みを出せればいいからさ】
『う、うん、ママの言う通りだよね。別の部分で頑張るよ』
『随分と、隠北斎先生と仲が良いんですね』
『え、あ、はい。リアルでの友人でもあるので』
『なるほど。実はこんな質問も届いていたんですよね。ヒカリと隠北斎ママはどういうきっかけで知り合ったんですか? また、仲良くなった経緯が知りたいです。との事。これは私も気になっていたので出来ればお答えいただきたいですね』
『あー、これはまだ言った事なかったか。といっても珍しいことなんて本当にないですよ?』
『それでも聞きたいですね。私はママとは仕事上の付き合いといった感じでそこまで親しくないので、仲良くなる秘訣とか知りたいんですよ。それに、実を言うと最近隠北斎先生のファンになりまして、依頼をした事があるんですよね。忙しくて無理だと断られてしまいましたが』
『あー、まあ学校とかもありますからね。それで、知り合ったきっかけですが小学校が別々で中学進学した際に同じところになったんですよね。学区の関係で。で、1年の時からずっと同じクラスで……』
【なーほーね】
【ああ、それで仲良くなったのか】
【それで意気投合したと】
『あ、それで行事なりで話して仲良くなったんですね』
『そういうのではないですね。お互いその頃からアニメとか漫画とかが好きでして、で同じ学区なわけだから当然通うアニメショップが同じになるわけですよ。中学生の行動範囲なんてたかが知れてますし。そんなわけで何回か見かける事があって……でもお互い声をかけたりはしませんでした。やっぱり恥ずかしさもあったので』
【声かけてないんかい!】
【でもちょっと気持ち分かるかも】
【俺もそんな事あったら声掛けれそうにないわw】
【中学生でアニメショップに行ったら同級生を発見……そりゃ気まずいわ】
『えーと、結局どうやって仲良くなったんですか? 全然接点出来なそうですけど……』
『学校の図書室ってラノベとか置いてあるんですよね。そこでも何回か見かけて、で同じシリーズを借りてるのを見て流石にスルーし続けるのもそれはそれで心苦しくなって、どちらともなく声をかけて……って感じでしたね。そこからはお互い趣味も合ってたわけですからトントン拍子で仲良くなりました』
『なんか、すごく普通ですね……もっとこう、ストーリーがあるのかと』
『世の中そんなもんですよ。まあ、TSしてしまった今は意外と不思議で溢れてるんだと実感してますけどね……』
『あー、それはなんと言ったらいいか。でもそうですね。共通の趣味なんかあると打ち解けやすいんでしょうね』
『多分ね。基本オタク気質な陰キャなんでそう簡単に人と打ち解けられないんですけど……』
『ああ……分かります。人と話すのって、緊張しますよね……』
【空気が……】
【あれ?俺かな?】
【分かる…】
【ちょいちょい空気死ぬな…】
『き、気を取り直して、次の質問はなんでしょうか?』
『そ、そうですね! 次の質問はヒカリさんが選んでいいですよ?』
『え、えーと……あ、これ! 好きな食べ物! こういう定番なのやってみたかったんだよね』
『確かに定番ですね。では私から。最近は喫茶店のパンケーキにハマってまして、休日などは喫茶店巡りなんかをしていますね』
『喫茶店巡りですか。いいですね。紅茶とか好きなんで俺もしてみたいですね。もっとも、まだ高校生でVtuberもやってる関係であんまりお金に余裕がなくてそういうのが出来ないんですよね……いつかやってみたいです』
『でも収益化出来たわけですし、その内出来ますよ』
『だといいんですけどね。というわけでライトメイトのみんな。よろしく頼むよ』
【直接頼むんかw】
【他力本願で草】
【直接頼むV初めて見た】
[全裸お兄さん ¥500 よっしゃ任せろ]
[右手のふりした左手 ¥400 しょうがないなぁ]
[麦茶 ¥150 今回だけだぞ]
『いやここ九十九さんのチャンネルだから! 俺に一切入って来ないから!』
【草】
【草】
【麦】
【草】
【紅茶】
【若葉】
【茶の木】
『本当にライトメイトはさぁ……。俺の好きな食べ物はまあ、男だったら大体好きだとは思いますが肉料理と麺類ですかね。それで最近だとパスタを割とよく食べますね』
『男の子ならラーメンが好きとか言いそうだなと思ってたんですが、パスタなんですね』
『いやー、ラーメンももちろん大好きですよ。でも家で食べるってなったら大体インスタントで麺茹でてスープを作ってほぼ完成じゃないですか。バリエーションが増やせないんですよね。その点パスタならソースを自作出来ますから色々と種類が豊富なんですよ』
『え、自作……? ソースって、自分で作れるもんなんですか……?』
『そりゃ作れますよw お店で出されてるのも料理人の人が作ってるんですから』
『そっか……そうですよね。ヒカリさんは、料理が出来るんですか?』
『まあ、両親が共働きなんで。普段はもっとちゃんとしたのとか作ってるんですけど、めんどくさいし手早くってなったらパスタとかに頼っちゃうって背景もあったり……。最近だと茶葉を使った和風の奴とかにハマってます。本来は捨てるはずの出涸らしで作れるからお得ですよ』
【味が想像できないな】
【茶葉か……それって苦くない?】
【残念ながら料理出来ちゃうんです、この子】
【元男なのに家庭的なのに危機感を覚えている私がいる】
【最初の緊張してた子とは思えない情報来たんですけど……】
【高校生のはずなのに発言が主婦っぽいと思ってしまうのはなんでだろうな】
『味に関しては確かに苦味はあるけどちゃんと量を調節すればアクセントになって美味しいよ。和風出汁と醤油で味付けして、そこに少量の茶葉で苦味をプラスしてる感じ。前に隠北斎先生が家に来た時に振る舞ったことあるけど結構好評だったよ』
隠北斎【あったな。あれは確かに美味かった】
【てぇてぇかよ】
【急なてぇてぇに晒されて瀕死なんですが……げふっ】
【本当に仲良いんだな】
『唐突にてぇてぇをぶち込んできますね、この子……。では、次の質問にいきましょうか。時間も押しているのでここからはサクサク答えれるのを中心にしていきますね。好きな色は? 私は黒です』
『んー、大体の色は好きだけど、強いて言えば緑系かな』
『次の質問。何歳ですか? 女の子に年齢を聞くなんて失礼ですよ。私は200を超えた辺りから数えるのをやめましたけどね』
『じゅ……じゃなくて、いくつだったかな? よく覚えてないですね』
【さっき高校生って…】
【十何歳なんだろうね?】
【あれ? でもさっき高校生って……】
【しっ!察してやれよ】
『次の質問。好きな飲み物は? 私はコーヒーが好きですね。さっき言っていた喫茶店巡りの際にはそこのオリジナルブレンドとかおすすめのコーヒーも一緒に飲んでます』
『俺もさっき言ったけど紅茶が好きです。お金に余裕がないからコンビニのペットボトルとか安いのしか飲めてないけど、いつかは飲み比べとかして好みの味を見つけたいですね』
『次の質問。スリーサイズは? 秘密です』
『教えるわけないだろ』
〔その時の2人の声は冷ややかな色が混ざっており軽蔑されていると分かるものになっていた〕
【ヒカリの冷ややかな声……最高……】
【Mニキ……】
【Mニキ、お前まさか……】
『次の質問。好きな歌を教えてください。私はバラード系とかしっとりした歌をよく歌いますね。自分の声に合っているというのもありますが』
『アニソンが好きです。後はふふふいふの歌みたやオリ曲とかも良く聴きますね。歌枠、歌みたはやってません』
『え、やってないんですか?』
『まあ、はい。その辺の理由は少し前に初見さん向けの自己紹介配信をやったのでそこで確認してくださいって事で』
【草】
【宣伝w】
【宣伝じゃねーかw】
【ヒカリが宣伝とか珍しいね】
『次の質問。好きな消しゴムは? え、なんですか、この質問は……? えっと、普通の奴が好き……? です?』
『カドケシ』
『次の質問。髪切った? 切ってません』
『同じく』
『次の質問。たけしくんはお母さんから500円を預かって八百屋さんまでおつかいに行きました。りんごは一個120円。みかんは一個80円です。さて、たけしくんのお母さんの不倫相手は誰でしょう? そんなの知るかー!!』
『ケバブ屋のケビンさん!』
【正解!】
『正解してる!?』
『適当言っただけなんだけど!?』
【正解してるしw】
【なんで当たるんだよw】
【というかお使いどこいったw】
【これ意味不明なテスト問題に似せたセクハラじゃね?】
『えー、次の質問。褌は何派? 当然俺はゲーミング派。……いえ、褌に何派とかそういうの全然知らないんですけど。というかさっきからなんか変なのばかり目につくんですけど……』
『すみません。多分その変なのはうちのリスナーです。よく悪ふざけするんですが、根は悪い奴じゃないと思いますので……』
『その、大変ですね……』
『大変ではないですけど、疲れはしますね……』
【よせやい、照れるじゃねーか】
【そう言われると……へへっ。照れるぜ】
【そんなこと言われたって、嬉しくねーぞこのやろうw】
『今のをどう受け取ったらそうなるんですか!?』
『無視して結構ですので、次の質問いきましょう……』
『そう……ですね。時間もありますし次がラストですかね。では最後の質問。今暇? ……配信中です!!』
【草】
【草】
【草】
【茶】
【緑】
【糠】
【米】
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