第10話

配信を終えた俺は疲れた体を癒す為に風呂へと向かう。


「あー、流石に3時間ぶっ通しは疲れたなぁ。やってる時は結構集中してたから分からなかったけど、終わった途端にどっと疲れが……もう12時回ってるし早く寝ないとな」


髪を洗い体を洗っていく。

しかし、変わってからもう何回も見てきたけど……俺今めっちゃいい体してるよなぁ。

だからなんだって話なんだけど。

男に好かれても嬉しくないし。

こんな恋人が居たらと昔なら思っただろうけど自分だからね!

はぁ〜……さっさと風呂入ろ。


「ふぃ〜。疲れが溶けてく〜。出るまでの間ツイーターの確認でもしようかな」


んーと、そういえば配信タグとか用意するの忘れてたなぁ……まあ、告知ツイートとかにリプ返くるのは大体いつもの人達だし、そこから辿ればいいだけなんだけどね。

登録者が少ない唯一の利点なのかも。

あんまり嬉しくないけど。

感想とかは……リスナーとの絡みが少なかったけど、初めて見るゲームだったし楽しかったって意見がほとんどか……感想呟いてるの10人に満たないけど。

でも、こういう感想を見ていくのも需要を知れて今後の参考になるはずだ。


これは……あー、シチュエーションボイスの罰ゲームについてか。

ここ最近は別ゲーやったり、突然のTSで雑談になったり、改めて自己紹介したりで配信でモ◯ハン出来てなかったなぁ。

でもあれって、罰ゲームには向かないんだよね。

何せ基準が難しいから。

同じクエスト、同じモンスターを相手にしても別個体で体力のばらつきがあったりするし、最初にいるモンスターの場所が違ったりもする。

他のモンスターの動きも毎回バラバラだから似た条件になる事はあっても同じ条件にならない。

だからこの参加型モ◯ハンはシチュエーションボイスの企画には使えない。

まあ、モ◯ハンは普通に好きだから次の配信でやろうかね。


他には……お、ニートネキか。

ニートネキはス◯ブラ希望か。

まあ、定番ゲームだし、一回の対戦時間もそんなにかからなくて回転率いいから候補としてはありだな。

それに確かニートネキもス◯ブラ持ってたし、そういう意味もあってこれがいいって呟いてるんだろうな。


「しかし、アレだな……なんか、こそばゆいな」


配信者やっている以上はこうなっでおかしくはないんだろうけど、なんというか、自分の事を好きでいてくれて、応援してくれる人が、促したわけでもないのに、自発的にコメントしてくれるのって、すごく嬉しいな。

照れとか気恥ずさとかもあるけど、凄くいいもんだな。

映えを気にしてる女子の気持ちが少しわかった気がするよ。

俺今女子になってるけど。


「うわぁ……表情筋が勝手に緩む……」


こんな表情、紫音には見せられないな。

絶対揶揄われる……。

いや、イラストレーターとしてそれなりに仕事をしているわけだし、言えば案外共感してくれるかもしれないな。

それでも多分揶揄われるだろうけど。


「他には……ん? DM? なんで? 誰から?」


普段DMなんて来ないから少しビビるが、見ないというわけにもいかないので見る事にする。

するとそこにはなんとなんとなんと、コラボのお誘いが!


「コラボ……だとぉ!?」


え、誰? なんで!?

俺Vtuberの知り合いなんて居ないんだけど!?

それでなんでコラボの誘いが来るの!?

驚き過ぎて耳馴染みのあるネタが口からこぼれたんですけど!?


「コラボ相手は…… 幽世九十九? これ、ゆう……あ、 かくりよか。で、九十九でつくもかな」


全然知らない人だしこの名前だと性別すら分からないんだが……一応Vtuberらしい。

ちょっと調べてみたところ、どうやら性別は女性らしく、チャンネル登録者数は3000人程。

定期的に収益化した個人Vを招いてお喋りしたりゲームをするっていう企画をやっているみたいだ。

一応の目標としてチャンネル登録者数10万人を掲げている身としては、横の繋がりが得られそうなこの話に乗らない手はないよな。


「コラボのお誘いありがとうございます。喜んで受けさせてもらいます。と。送信」


返信来るまでにこの人の配信を少し見ておこうかな。

どういう人か理解しておきた……って、うわ! もう返信来たよ!


『お受けいただきありがとうございます。つきましては、コラボの内容を相談したいのでカンヴァでの通話は可能でしょうか? こちらがそのURLとなっております ************』


うっ! いきなり通話か……絡みのない人と通話するのは抵抗感あるけど、コラボする以上はどの道通話するわけだし、四の五の言ってられないよな?

覚悟を決めて……よし、行くぞ。

あ、吉幾三じゃないぞ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る