第39話 学園の変化
次の日。
「お兄様! 私達は悲しいです!」
「「「「そうだ! そうだ!」」」」
学園にやってきたら入口でクラスメイト達が集まって俺達を囲って文句を言ってくる。
「ま、待ってくれ。みんな? どうしたんだ?」
「どうしたんだ? じゃないですよ! お兄様! どうして私達も連れて行ってくれなかったんですか!?」
「え、えっと……一体何のことやら……?」
「Cエリアの外側でものすごい爆発がありましたよね? あれは間違いなくお兄様達の仕業です!」
言い切っちゃったよ……というのも、あの戦いで俺達の名前は公表されていないはずだし、特殊な軍事練習として発表しているはずなんだがな…………まぁ勘がいい人は原因くらい分かるだろうけどね。
「私達はお兄様にとって仲間じゃないんですか!?」
代表して声を上げているが、さくらちゃんだけじゃなくてクラスメイト達の総意なのは間違いなさそうだ。
その時、特別校舎から結城先生が出て来た。
「みんな、何してるよの」
「先生! お兄様が私達だけ残して外で戦って来たんですよ? 悔しいんです!」
「はあ、なんのことかと思えば…………詳細は聞かないけど、多分隣エリアの守護神でも倒して来たんでしょう?」
「「「「ええええ!?」」」」
結城先生がますます火に油を注ぐ気がする。
「でもね。残酷だけど、君達では蒼空くん達とは一緒にいけないわよ」
「先生!?」
「今のままではという事。だから貴方達も強くならないといけないわ。それに今日はみんなに伝えなくちゃいけないこともある。すぐにホームルームをするから入りなさい」
真剣な表情の結城先生によって、俺を囲っていたクラスメイト達が渋々教室に向かった。
教室に着くと、結城先生もすぐにやってきて緊急ホームルームが始まった。
どうやら特別校舎の生徒達全員に伝えられる
その内容というのは――――月守さんが語った内容と全く同じ内容だった。
つまり、今回の彩姫の予見は本物であり、それだけ力を入れなければ人類の滅亡を意味する。
「それと、今日からクラスメイトが増えるわ。入って頂戴」
開いた扉からは、長く伸びた綺麗な黒い髪の彩姫が入って来た。
いつもの着物ではなく、制服姿の彼女は凄まじい可愛さを誇る。
一瞬でクラス中の男子から黄色い声が飛んだのは言うまでもない。
「初めまして。月守彩姫と申します。本日から編入させて頂きました。ただ……一つ残念な知らせがあるのですが、私は――――蒼空くんの
「「「「ええええ!?」」」」
「「ええええ!?」」
「「「「どうしてお兄様が驚くんですか!?」」」」
「いやいや、俺も初耳だ。こらっ! 彩姫! あまりみんなをからかうなよ!」
「えへへっ! 嘘でした~!」
何故か胸をなでおろす妹が視界に映る。
「私は蒼空くんのパーティーメンバーですので、動きやすくするために編入されて頂いた感じです」
「なる……ほど…………凪咲先輩に加えてまた強力なライバルが…………」
いやいや、さくら。君は何を言っているんだ。そもそもライバルでもなんでもないというか、ただの仲間だしな……ただの…………ただのではないか。
「あと、私、既に蒼空くんと――――同棲しておりますので」
教室は収拾がつかないくらい慌ただしくなった。
本日から特別校舎の生徒達の授業が全て変わる事となった。
珍しく反強制的に参加させられるのだから、これがどれくらい重大な任務なのかが分かる。
国も学園も必死であるのが伝わってくる。
授業の内容としては、午前中は室内で訓練、午後から
それには嬉しそうな声をあげる生徒もいたけど、狩りという言葉に不安がる生徒もいる。
さらに授業は一年生から三年生まで全員一緒に受ける事となった。
「凪咲のところはうろたえてなかったようだな?」
「そうね。二年生ともなれば外に行くのは普通の事だから、慣れているというか、覚悟を決めている人が多いんだと思う。ここを選んだ時点で、こういう有事で力を貸す覚悟をね」
有事か……。十年前の大惨事を思えば、それも当然か。
「一年生は言うまでもなく、色々大変だったみたいだね」
「いや……どちらかというと大半が彩姫のせいかな。でも彩姫のおかげでみんなの心がだいぶ解れた気がする。うちのクラスメイト達も覚悟は決まったみたいだ」
さくらちゃんを始めとするライくん達の表情は、覚悟を決めた凛々しい表情で授業に挑んでいる。
俺と七海、凪咲、彩姫は全ての授業から対象外とされた。結城先生曰く、守護神を倒せる少人数パーティーで倒せた人達にもう教える事はないそうだ。
まだまだあると思うんだけど、一冊の本を渡されて終わった。
その名は『戦略辞典』という不思議な名前の本だった。この本は世界でたった一冊しか存在せず、内容もコピーできないようにわざと本のまま保管しているという。
中を覗くと、魔物との戦いの記録から人々の戦いの記録、戦術、戦略、戦力、戦いに関して多くの事が書かれていた。
俺達はここに書かれている情報をスポンジが水を吸うように、どんどん知識を取り入れた。
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