第7話 試練の意味

 ――【経験値一定値達成により、レベルが24から25に上昇しました。】


 ――【天能『絶対防壁』により、スキル『挑発』を獲得しました。】


 ――【経験値一定値達成により、レベルが29から30に上昇しました。】


 ――【天能『絶対防壁』により、スキル『シールドバッシュ』を獲得しました。】



 ここまで上げるのに数日を要した。


 でも考え方を変えれた、たった・・・数日でレベル30に到達できた。


 元々攻撃スキルを持っていない俺が一人でここまで来れるとは想像もしていなかった。


 新しく手に入れたスキル二つは、『挑発』は半径20メートルの魔物の注意を全部俺に向けさせるスキルで、発動中は俺の身体から赤いオーラが立ち上り30秒間続く。その間に範囲内に入った魔物が全部俺に向かってくるようになる。


 まだ攻撃魔法が乏しい俺は試す訳にはいかず、獲得した時に知った情報だ。再使用には90秒掛かる。


 次に獲得した『シールドバッシュ』は、スキル『大盾』発動中のみ使えるアクティブ型スキルで、一度の『大盾』に一度しか使えないが、俺の前方に半径10メートルの半円形、左から右に大盾で薙ぎ払いを行う。


 というのもあり、薙ぎ払う中は大盾が身体の前から離れるので、防ぐだけの意味では使えない。


 効果としては、体当たりと同じ効果を持つので、麻痺の効果を付与できるのは非常に大きい。


 今まで倒せなかった上空を飛ぶタイプの魔物もこのスキルを使って撃ち落とす事も簡単だった。




 レベルが30ともなると、ステータスも驚くほどに上がって、今では虎魔物の攻撃すら簡単に避けられるようになった。


 レベルで得られるステータスというのは、攻撃の際にダメージが増える『力』、動きの速度を上昇させる『素早さ』、受けたダメージを軽減させたり状態異常を軽減させる『耐久』、遠距離攻撃の際にダメージが増える『器用さ』、魔法を使う時に消費する『魔力』の合計五つが存在する。


 この中でも『魔力』は魔法が使えるタイプの天能以外は上がる事はないので、天能を開花させた時に魔力が0かそれ以外かで魔法が使える天能なのかが分かる。


 俺の天能は『絶対防壁』というだけあるので、耐久が一番高いと思っていたのだが――――俺が想像していたのとは全く違っていた。


 レベル30になって五つのステータスを確認した際、0が二つ並んでいる。『耐久』と『魔力』だ。


 『力』は低めで、『素早さ』と『器用さ』が非常に高くなっている。


 あまりにも意外な事実で、俺の天能から考えた場合、『耐久』は全くと言っていいくらい必要ない。


 『耐久』というステータスが担っている全ての効果を最大値に発現しているので、ステータスが上昇しても意味がないのだ。


 一番欲しいのは『力』ではあるんだけど、それはあくまで一人で戦う場合だ。


 本来、盾というのは敵の注意を引く『タンク』と呼ばれる役割だ。


 だからこそ、一番欲しかったステータスは『素早さ』であり、遠距離攻撃が適応される『器用さ』だ。


 その事実に思わず涙が流れる。


 天能に見放されたと思ってずっと無能と言われ、こき使われていた。


 獲得経験値の貢献度も稼げず、天能を恨んだ事だってある。


 なのに、天能はしっかりと俺を支えてくれようとしているのが感じられる。


 自分の天能を信じられなかった自分に腹が立ったけど、それでも見捨てなかった自分の天能に涙が溢れる。


 ――――ありがとう。


 どうしてか天能からも感謝の気持ちが伝わってきた。


 感謝をするのは俺の方だ。ずっと俺を守ってくれたんだから。だからごめん。ずっと君を信じられなかった俺を。
















 ――【天能『絶対防壁』の絆が一定値を越えました。絆スキル『デッドリーバレット』を獲得しました。】


 ――【天能『絶対防壁』の第二形態が解放されます。モード『迎撃』を獲得しました。】
















 絆スキル!? 第二形態!? 一体何が起きているんだ?


 レベルアップでスキルを獲得するのは知っていたけど、絆スキルという言葉や第二形態という言葉は初めて聞いた。


 その時、空が割れて・・・黒い光が降り注いだ。


 普段から明るい世界に異様な光景が広がっていく。


 割れた空から――――――大きなが俺を覗いた。


神盾イージスを持つ者よ】


 巨大な顔と目があった。間違いなく俺に対する言葉だ。


【試練を乗り越えた事。称賛する】


「試練!? 一体何の事だ!?」


【試練ノ塔は抜け出すための場所ではない。救済の力を持つ者からたった一人。本物の力を持つ者を探すための試練である】


「救済の……力?」


【神盾を持つ者よ――――女神から世界を取り戻せ。自身の中に宿った悪魔の力を使え。女神を滅ぼせ。そして、救済せよ。悪魔の力を開花させた神盾の勇者・・に光あれ】


「ま、待って! 女神から世界を取り戻すってなんだ!? なぜ女神と戦う! 俺に悪魔の力なんてないぞ!」


 巨大な顔は俺の声に答えることなく、割れた空の奥に消えていった。


 そして、割れた部分に世界が吸い込まれていく。


 魔物も世界も何もかも――――俺も割れた空の果てに吸い込まれた。




――――【お願い】――――


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