第2話
俺と
大学の食堂で一人さびしくランチを食べていた俺に「ここ
お互い一人だったのと、彼女が人見知りしない性格だったおかげで、食べながら会話が弾んだ。
意気投合というほどではなかったが、同じ一年生ということで、その後も食堂で相席するようになり、なんとなく親しくなっていく。
もしもあの日、食堂がそれほど混んでおらず、座るところが他にもあったならば、今の俺たちの運命は全く異なっていたに違いない。
俺たちが住んでいるのは、東京まで往復数時間という辺りにある街だ。東京と比べたら田舎街かもしれないが、俺から見ればそれなりに都会であり、わざわざ東京まで頻繁に遊びに行く気持ちにはならなかった。
一方、
だから今回「月末の日曜日、
しかし、それならば前の晩から泊まり込む形になるが、今回は日帰り。埼玉県の所沢市にある武蔵野ミュージアムという博物館へ出かけるのだという。
「所沢? じゃあ東京じゃないのか?」
「ほとんど東京みたいなもんでしょ。それに、ちゃんと東京まで行くわ。目的は武蔵野を見て回ることだし」
「まあ何でもいいけど……。わざわざ行くくらいだから、その博物館、同人誌の博物館なのかい?」
「いや、ちょっと違うんだけどね……」
俺は軽い気持ちで尋ねたのに、
そこで初めて聞かされたのが、少し前から彼女はインターネットで小説を書いているということ。
そもそも二次創作は権利者のお目溢しで行われるものだが、中には「お目溢し」ではなく、権利を保有する出版社が公式に認めている場所もあるという。
その一つが、ちょうど
「その関連でね、武蔵野ミュージアムのチケットを入手したの。それが二人分だから、
そう言って
それまで見せたことがない表情であり、俺は「オタク趣味や二次創作よりも、普通の小説書く方が恥ずかしいのか。これがオタクの考え方か」と少し不思議に思ったほどだ。
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