武蔵野をめいっぱい楽しむツアー
烏川 ハル
第1話
「……起きてよ、
聞こえてくる声と共に、体を揺すられて目が覚める。
ボーッとした顔で見回せば、隣には見慣れた
俺は彼女と二人仲良く並んで、武蔵野ミュージアム近くのベンチに座っていた。
「ああ、またこの場所か……」
「『また』じゃなくて『まだ』でしょ? 寝ぼけないで!」
「私たちの武蔵野ツアーは、まだ始まったばかりよ!」
そう言われて、今度は俺が変な表情になったのだろう。
「そろそろお昼だから、もう『始まったばかり』じゃないけど……。でも、この武蔵野ミュージアムがスタート地点だからね」
彼女はスクッと立ち上がり、元気いっぱい両手を広げる。
「さあ、めいっぱい武蔵野を楽しむわよ! 気分はエンドレスってくらいに!」
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