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血だらけの彼が第2倉庫に転がっていたのは、そういう日だった。いつものように彼のことを考えながら過ごして。たまたまご飯を買いに行って、その帰り。
そういうのがまったく分からないけど、とにかく、ぐちゃぐちゃになってるのは、分かった。
「よっ」
彼がにこっと笑う。なんか、なんとなく、楽しそうだった。
隣に座るどころじゃなかったので、すぐに助けを。
「ああ、いらない。増援来るから」
「うそ」
でも、助けは呼べなかった。そういうレベルじゃない。
とりあえず分からないまま、彼の身体にふれる。どうしようもなかった。止血という概念が存在しようもない、ぐちゃぐちゃな状態。
「いいな、これ」
彼がもたれてきたので、抱きしめる。力加減を少しでも間違えたら、彼の身体がちぎれてしまいそうだった。
「たのしかったな」
「うん」
彼。なぜか落ち着いていて、声も小さいけどはっきりしてる。それが、なんとなく分かる。
「弁当。美味かったか?」
「おいしかったよ。とっても。また作ってよ」
返答はない。目を閉じてる。
そうやって。
しばらく。
過ぎた。
腕の中の彼は、もう。
このまま。
彼のことを覚えているまま、わたしも一緒にいたかった。何もない。誰も来ない。この第2倉庫の片隅で。ひっそりと。彼と一緒に。
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