第6話

 無事に専門学校も受かりました。しかし専門学校は自宅から通うには便が悪く、私は小金井市に一人暮らしをすることにしました。


 父は反対をしていましたが、私の決意をみ取ったのか、手離すほうが楽だと気づいたのか最終的には許しを出し、私は父のもとを離れることになったのです。自立する解放感は多分にありましたが、決してほうける気などなかったのです。私には未来が必要でしたし、没頭する目標を得たことがただ純粋に嬉しかったのです。


 新生活に胸が高鳴り、専門学校でも学ぶ喜びを感じる充実した日々を送っていたのです。順風満帆な軌道を私は歩んでいたのです。

 実感もありました。つたない高校時代を払拭する実感が確かにそこにはあったのです。


 ただ、出会ってしまっただけなのです。あの日に出会ってしまっただけなのです。ただそれだけなのです。

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