第5話 そういうわけで心おきなくお励み下さい。
あと、カトリーナ嬢の孤児院時代からの幼なじみとかいう平民の方にも、ご退場していただきましたわ。
特待生でもないのに平然とこの学園に出入りしてカトリーナ嬢の部屋へ何度も忍び込んでおりましたから。
しかもその度に、カトリーナ嬢のおからだを辱めていましたのよ。
ええ、そうなんですのよ殿下。
殿下は少なくとも御容姿だけは素晴らしいのに、その男は側近の方々よりもブサなんですのよ。
それなのにカトリーナ嬢を辱めて子供を孕ませようとしていたなんて身の程知らずですわ。何をするか判らない暴漢相手に、カトリーナ嬢は喜んでいるフリをなさって、体を開くしかなかったのですわ。なんという悲劇でしょう!
わたくし、初めて現場写真を見たとき、怒りの余り引き裂いてしまいましたわ。
カトリーナ嬢が殿下以外の種で孕む危険は徹底的に排除しなければなりませんもの。
あらカトリーナ嬢? どうしてお怒りになるのかしら?
まさかとは思いますが、殿下との『真実の愛』があるのに、あの賊と合意の上でことに及んでいたなどありえませんわよね? 喜んでいらしたのは身を守るためのお芝居でしたのよね?
うふふ。そうですわよね。あんな卑劣なおとこを歓迎していたなどということがあるはず御座いませんわね。
あの賊は単なる犯罪者。排除したのを感謝こそされ恨まれる筋合いはありませんわ。
え、退場とはどういうことか、とお聞きに?
ああ、カトリーナ嬢! わたくしを睨むそのお顔もステキですわ! 皆さん撮ってくださってますわよね?
わたくし、大したことはしておりませんの。学園当局に通報しただけですわ。
相手は許可なく高貴な人々のみが通える学園に侵入してくる凶悪な賊ですもの。
しかも寮に侵入しては男爵令嬢であるカトリーナ嬢を幾度となく辱めた性犯罪者ですわ。
即日捕らえられて、凶悪犯用の牢に入れられましたわよ。
ご安心になって、賊は収監中に病気で亡くなったそうですから、二度と不埒な真似をしませんわ。
ああ、あのお方、トーマスというお名前でしたの。存じませんでしたわ。
いいですわその泣きそうなのをこらえるお顔! カトリーナ嬢はどんな顔でもステキですわ!
そういうわけで邪魔者は徹底的に掃除しておきましたので、おふたりで励んで玉のようにうつくしいお子をお作りになってくださいな。
おふたりとも励むのは大好きで御座いましょう。
カトリーナ嬢のお腹に既におひとりめがいるのは存じておりますわ。
月のものが止まってから確か既に2ヶ月でしたかしら。
側近の方々も、あの犯罪者も排除した後ですから、殿下のお子であることは間違いありませんわ。
おふたりのいいとこどりとかたまりませんわ。
想像しただけでじゅる……尊い……尊すぎますわ……。
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