第4話 美しい花畑を守るために必要なこと。
カトリーナ嬢が現れて全てが変わりましたわ。ほんとうに全てが。
色を失いモノクロと化していた世界が、いきなり総天然色の豪華絢爛な世界に!
おふたりの相乗効果で、それはもうすごいんですのよ。
今だって背後に華麗なお花畑が出現してますもの。わたくしには見えますの。
赤い薔薇、白い百合、水仙にシクラメン、舞い散るは百花繚乱の花びら。
ああ、なんて、お美しいおふたり!
キラキラですわ! クラクラしますわ。天上界の音曲が鳴り響いておりますわ!
おふたりが並んでいると神話の英雄と女神のようですわ! お姿だけは本当に!
知性も教養も品性も礼儀もない
ですからわたくし、この一年はただひたすら、殿下がその麗しい御容姿にふさわしいカトリーナ嬢と結ばれるよう切に切に願っておりましたのよ!
さきほどの得意絶頂で幸せいっぱいのおふたりは本当にステキでしたわ!
わたくしも願いが叶って、幸せのおすそわけをいただきましたわ!
ご馳走様でした! ああ眼福!
こんなにおふたりのお姿だけを褒め称えるわたくしが、どうしてカトリーナ嬢をいじめなどするでしょう? するはずありませんわ。美術品に嫉妬などしませんわよね。
え? しらばっくれるな?
元側近の方々をわたくしが排除したと? 最近姿を見ない?
排除ではなく、掃除をしただけですわ。
当然ですわ。
うつくしいものを守るためには、それ相応の手間をかけねばならないですもの。
美しいバラ園を守るためには、剪定し害虫を退治し雑草を抜かねばならないのと同じですわ。
美しいおふたりのあいだにお生まれになるお子に、万が一でも美しくない血が入ったら人類史に残る悲劇ですもの。
あのゴミもとい側近の方々は、あまりにカトリーナ嬢と距離が近かったので、万が一があってはなりませんと愚考しましたの。
わたくし大したことはしてませんのよ。
カトリーナ嬢と側近の方々が身も心も深く密着し絡み合い親密にしている写真を、側近の方々の婚約者である御令嬢の方々に送っただけですの。
まぁ! カトリーナ嬢、その青ざめた顔もお美しいですわ! 美人はどんな顔でも美人ですわね!
そうしたら、どの御令嬢方もあっさり婚約解消なさいましたわ。
側近の方々の御実家も、彼らを残らず後継者から外したうえに断種なさったようですわね。
当然ですわね。
どこで種を蒔いてくるか判らぬ子息などお家騒動の火種にしかなりかねませんもの。
社交界から消えた彼らの行方ですか?
さぁ? 関心がないので。
美しさでは殿下の足元にも及ばないくせに、殿下と負けず劣らず無能で低劣な方々なんてどうでもいいですもの。
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