第9話
「そろそろ
竜樹は銀鱗を手に持つと目を閉ざし、
「
銀の鱗がしなるように長く伸びると、銀色の
岩屋の奥底からずうん、ずうんという地鳴りが聞こえてきた。
やがて六本の角と鋭利な牙を生やした頭がぬうっと岩屋から現れた。
天に向けて頭を乗り出すと、その後に続く胴体はするすると長く伸び続け、蛇行した黒い影が満月の光を遮った。
「
竜樹が継ぎ足で一気に黒龍との間合いを詰めた瞬間、総隊長からも号令がかかった。
「龍装隊、総攻撃開始。華撃隊、速射連発花火で弾幕を張り、黒龍の姿を
二百基並んだ打上筒が火花を散らすと、華の島の上空で蜂、柳、
竜樹は黒龍の懐まで潜り込むと、薙刀を黒龍の首めがけて振り抜いた。ばさりと斬り裂いた
竜樹の攻撃に合わせて各隊も波状攻撃を展開し、もうもうと煙が立ち昇る。
「撃ち方やめえ」
総隊長の合図とともに辺りが静まり返ると、やがてうっすらと煙の中から黒龍の姿が浮かんできた。黒龍の様子を伺うと、つけた傷跡はずずずと音を立てながら塞がり、すぐに癒えてしまっていた。
「やはり効かぬか……。奴は実体がなく、穢れの念が集まった幻影。我々の攻撃では歯が立たぬ」
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