第18話闘病生活

 祖父は入院してから、暫くの間闘病生活を送っていた。

 心臓も悪く、あとはアルツハイマー型認知症もあったため、長らく病院にいることになった。

 何度か家族で祖父のお見舞いにも行ったが、家族であることを認識していたかどうかは定かではない。

 

 アルツハイマー型認知症の初期症状で、徘徊みたいな行動をすることもあった。

 認知機能の低下からか、自分の名前も覚えていない状態であった。

 可哀想と思ったが、その時はまだ高校生か大学生だったわたしは何もできずにいた。

 もっと手厚く看病していたらなあと今でも後悔する。

 九十四歳って、自分がなった時にどういう感じになるのだろうとふと考えた。 

 幸せな人生を全うするのか、憎まれて息絶えていくのか。

 想像を絶するが、いつかは歳を重ねて、祖父の年齢にも少しずつ近づいていく。


 長生きする時代だが、多分延命はしたくないだろうなって私は思う。

 長寿国ともいわれる日本だが、それだけ高齢者が元気で過ごせるのも、医療や福祉などが充実しているからである。 

 少子高齢化の波は止められないかもしれないが、高齢者をいたわる気持ちも忘れてはいけない。

 

 私が後期高齢者になった時に年金がもらえるかどうかなんて、未来はわからないし、保証されるかどうかもわからない。

 その点祖父は幸せ者だったなって、つくづく思う。

 

 闘病生活の話は次回も続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る