第11話畑仕事と家庭の両立

 生きていたころの祖父は専ら畑仕事と家庭を両立していたらしい。

 わたしが幼いころの祖父の記憶はほとんどない。

 でも決して家庭を顧みない人ではなかった気がする。

 

 畑仕事にとても熱心で、それで生計を立てていたといってもいい。

 母は「祖父は土建も少しやっていて、それで家計を支えていた。」と言っていた。

 そんな話を初めて私はわたしは母から聞かされた。

 わたしの父を大学へ進学させるために祖母と二人三脚で家族を支えていた祖父の姿が目に浮かんでくる。 

 父を本当は自衛隊の学校へ行かせたかったらしい。

 が、父は経済を専門とする大学へ進学したそうだ。

   

 仕事と家庭の両立ってなかなか難しいとわたしは思う。

 普段外で働いて、家に帰ってから洗濯物を畳んだり、食事の準備をしたり、子供がいたら、面倒を見ないといけない。

 へとへとになりながら仕事や残業を熟す人もきっといるはずだ。

 

 祖父にとっては畑仕事は生きがいだったのかもしれない。

 野菜に愛情をこめて育てることはとても大切で、栽培するにはしっかりとした肥料や水やり、土壌づくりも必要となってくる。 

 

 最近、父の畑仕事を手伝うようになり、土壌づくりや環境、水はけ、肥料をまく意味などを教えてもらっている。

 

 きっと祖父もそのことをしっかりと理解した上で、野菜を栽培していたのかもしれない。

 家に帰ってから、料理もしていた祖父の背中が何気なしに過る。

 畑仕事と家庭の両立ができるそんな偉大な祖父の話であった。

 

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