第3話逝去

 第二話で入院した祖父の話に触れたが、私が京都のマンションから家へ引っ越しているさなかに一本の電話が鳴った。

  「病院内で息を引き取りました。見に来てください。」

とのことだった。

 すぐに引っ越し作業を中断して、車で病院へ駆けつけた。

 そのときはもう息すらしていない死に絶えた祖父の姿があった。

 

 後日お通夜がまず葬儀場で行われ、私も参列することになった。

 そこには亡き祖父が棺に入っていて、永眠しているようだった。

 次の日に葬式にも参加し、亡くなった祖父の姿を最後までみとった。

 なぜか涙は私は流すことはなかった。

 何処かぽっかり心に穴が開いたような気分だった。

 火葬場へ棺が運ばれ、そこで祖父の骨は遺灰へと変わった。

 灰をツボに入れて、墓に埋めに行ったことは今でも鮮明に覚えている。

 時が止まったように瞬間があったが、これが現実なんだとその時悟った。

 

 それから何度か周忌を迎え、親せきの方たちが家にきて、お寺の方と一緒にお経を唱えた。

 供養も無事に済み、きっと祖父を安らかに天国へ旅立ったころだろう。

 

 これが息を引き取った祖父の話である。

 暗い話で大変申し訳ない。

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