第2話 嫌じゃねえよ
「嫌だ! 別れない 嫌だ!」
「波、もう少し冷静になろう」
「冷静になれ? そんなことよく言えるね! 別れるって意味が判らない!」
「だからね、波の勝手な行動について行けないんだよ。夜中や、朝早くとかの、あの突撃が困るんだよ。俺は普通のサラリーマンなんだからさ。判る?」
「ハァ? 判るに決まってるでしょ! でもなんで? なんで困るのよ。連絡してから行ってますから! ライン見ないのが悪い!」
俺は頭を抱える。なんも判ってないじゃないか! 馬鹿なのか? こいつ。それとも……俺が悪いのか? うん? いや!俺は悪くない! 波の感覚がおかしいんだ。逢いたいと思うと時間や、こちらの都合なんてお構いなしにやって来る。連絡しているって言ったって、到着五分前にライン貰ってもさぁ。いくら恋人でも……俺だって切れますよ。真夜中とか? 午前4時とか? 出勤前の死に物狂いに急いでいる時とかね。
追い返そうもんなら浮気しているとか、悪いことしているんだろうとか、泣いたり怒ったりする。
とほほほだよ。決して嫌いじゃない。むしろ大好きだ……けど……なぁ。限界なんだよ心身共に。
だからとうとう別れ話をしたわけだ。そしたら案の定、予想通り、「嫌だ!嫌だ!」の連発。挙げ句、人でなし呼ばわりだからな。判っていても対処に困り果ててる俺。
**
波は正樹が大好きなんだ。
死ぬほど好きなの。だから逢いたい。だから抱いて欲しいのに。
なのに……正樹はちっとも判ってない! そして何でもしてあげたいのに。尽くしたいのに!
正樹のばか……。
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