第8話 覚悟は……

 我慢の限界は当に突破されているふたりは、抱き合い縺れ合い

すべてを脱ぎすて貪り合う。

理性はあるはずなのに、矢島は年下なんだから、自分が落ち着いて対処しなければと思えば思うほど求めてしまう。

もし、これが刹那であってもいい。好きだと言ってくれた矢島を抱き締めたかった。

「もっともっと欲しい……矢島……くん」

「爽っ、可愛くて欲しくて堪らかったよ」

 矢島の唇から舞い落ちる赤く染まる花びらが鎖骨を、胸の膨らみを優しく埋めていく。頬を染めて喘ぎ声を殺そうと、手の甲を唇に当てる爽の反応が愛おしい。

……恥ずかしい……でも……嬉しくて涙が零れてくる。

「如何したの? どこか痛い?」

「ううん……矢島くんが……矢島くんとこうなれて嬉しいの」

「泣かないで。爽……僕だって嬉しいよ」

色白の肌がピンクに色づき、ふたりの汗で艶めきを増していく。

「可愛いっ爽……もっともっと喘いで良いんだよ……」

何度も激しく愛され、震えるほどの快感の波に溺れていく。

「健人!……あぁ……イイ……」

「やっと名前で呼んでくれた。 堪らないよその顔……いいの? ここ?」

矢島は爽を抱き起こすと態勢を変える。矢島のリードが、徐々に爽の恥じらいを捨てさせていく。快感を貪り、自ら深く繋がろうとする爽の様子を下から見つめる矢島。

 爽の激しくなる動きが、その時を教えている。矢島自身も上り詰め、熱い快感が白濁を吐き出させる……爽はそのまま矢島の上に倒れた。

矢島は優しく背中を撫で、

「よかった爽?」

「うん……素敵過ぎて……おかしくなりそうだった」

「ほんとに? なんかホッとしたよ」

「もう~健人の全部がすき……」

矢島に抱きしめられ、キスの嵐が爽を襲う!

仕方ない……好きになってしまったんだ年上の君を。

山内爽二十八才 バイト先の先輩。俺の恋人

先の事に確実性なんてない。けど、腹は決まっている。

ただ今は爽を抱きしめ、柔らかな時の中で微睡んでいる、

このときを幸せだと思えるのが嬉しい。

「爽? 年の差の事で爽も俺も、これから何回も壁にぶち当たると思う。

だけど俺と一緒に歩いて行くんだぞ。今夜俺は、何があってもお前を離さないと決めて抱いたんだから。爽のすべてをこの腕の中にしまったから。覚悟してな」

爽は頷き矢島の唇を塞ぐ。なんてキザな言葉を紡ぐの?

……君は格好いい……君を感じていたい……ずっとずっとずっと。


でも、いつか君が私の手を離し、飛び立つ時が来る事を知っているよ。

それでも良いの、この気持ちは止められないから。愛している君に首ったけなんだ。


だからね、暫くは君の言うとおり一緒に歩いて行くよ。

 

その時までは、いっぱい、いっぱい甘えさせて。

その時までは、今と変わらずに愛してね。


その時が少しでも遅く来るように私努力するから。


矢島健人二十一才 大学三年生。私の大切な大切な恋人。


爽と矢島の覚悟の恋がここからはじまる。



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