第3話 ああ~デーとなら良いのに.
私は午後に打合せが急遽入り、資料庫へ行くと、矢島が資料整理を為ているところだった。
「あっ爽先輩、お疲れさまです。なんの資料が必要ですか?」
矢島は、必要な資料を私から聞くとサッサと揃えてくれた。
「悪いね。そっちも忙しいのに」
矢島は笑いながら、
「いえいえ、ほかならぬ爽先輩の為ですからねっ」
そうだこのチャンス逃すまじ!
私は資料を受け取りながら夕飯に誘った。
「助かった! 親切なバイト君。
あっ、そうだ、今日空いてたら食事行かない?夕食奢るぞ~」
「へえ~良いんですか? あっ、ちょっと待って貰っても……」
そう言うと矢島はスマホ出し何やら確認している。
「えっと、後輩からのは……お~良かった! 明後日だったので。行けます! じゃ定時に上がったらロビーで待ってますね。」
「良かった! じゃぁ後でね」
私は兎に角、絵美の用件を早く済ませたかった。諦めさせるなら出来るだけ早いほうが良いに決まっている。傷は浅いに限るんだ。
嫌な役回りに少し苛立っている私の心。仕方ないよね……好きなんだから。
六時過ぎにやっと打ち合せが終わった。急いでロビーに降り、小走りで矢島に近づく。
「ごめん! 打ち合わせなかなか終わらなくてさ」
「お疲れさまです! 走らないで下さい転びますよ!」
矢島が手を挙げて笑う。
どうしよう、なんだか心臓が煩い。平常心だぞ頑張れ! 私!
「さてと~何食べる? リクエストある?」
「はい! 美味しワイン飲みたいです。でも高くない奴で~」
「高くても大丈夫ですけど~
でもこの近くにそんなお店ある?」
会社の周りは結構高いし、いつもは居酒屋で済ませているので、
正直良く判らないのだ。
スマホの画面を見せてくる。
近い……近いって……。
「ググッてみたら結構ありました。この近辺ではないけど。
画素はいい感じに写っています」
「ここ何処?」
「これは飯田橋のイタリアンです」
私は東池袋。矢島は池袋に住んでいる。
「途中下車する事になるけど?
良いなら電話しするよ」
頷く矢島を確認して電話を入れると、お店は当日OKだったので、席だけ予約を入れて飯田橋に向かった。
「新富町から有楽町線で約13分。飯田橋駅から徒歩五分位。 三十分見れば余裕ですね 楽しみすっ」
矢島が嬉しそうに話す。
もうぉ、私は早急からどきどきしていますけど……。
ただねぇ、ハァ……これからの事を考えると気が重くなる。
嫌だなぁ本当馬鹿みたい!
地下鉄に乗り、隣に立つ矢島の横顔を見る上げる。やっぱりイケメンだと、つくづく感心してしまう。もし、もし仮に恋人になったら甘々かな? それもとツンデレかな? なんて妄想爆裂していたら
「爽先輩! 降りますよ! ボォ~として!」
矢島が私を引っ張って降りた途端ドアは閉まった! 危ない~
「もう~何考え事してたんですか? 何回呼んでも返事し無いんだから!」
「ごめんね。仕事のこと~」
「はいはい! 仕事モードはこれまで! ここからは無礼講でお願いします」
そのまんま引っ張られた状態で
歩いていると、ちょっとだけ恋人気分! 周りにはどう見えるかな。なんだか擽ったい気持ちになる。そんな妄想をしているうちにお店に着いてしまった。残念!
お店はググった通りのお洒落な雰囲気だった。、
迎えてくれたスタッフもとても感じがいい。
席に通されると矢島は、
「いい雰囲気ですね! これは料理とか期待出来そう~」
「うん! 本当楽しみね」
私たちは思わず顔見合わせ微笑みあった。
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