第2話 同期だからって!

 私達は散々悩んだ挙げ句、結局キツネうどん梅おにぎりセットにした。

「おい! 聞いてる? 爽!」

「あっえっ? 聞こえてる」

「何? 聞こえてるって。失礼な奴! まあいいや。でね、爽さぁぁ、矢島に色々とに相談されてるって聞いたよ? 私のことで。それ本当? もしそうならさ、矢島に夏川はどうやら好きなひとがいるみたいって、匂わして欲しいんだよねぇ」

うどんを啜っている私に一方的に話してくる絵美。

「え~相談って、まぁ愚痴ですよ君のね。一方的に阿呆らしい恋バナを聞いただけだよ。それも一回のみ」

社食の時計を見ると、後二十分で昼休みが終わっちゃう。 

「ねえ早く食べないと時間無くなるよ」

「うん……だからこの際、回数は関係ないってーねっ頼む! 私、死活問題なんですよ、矢島が絡んで来るのを見ると、柴が怒るんだもん」

 啜っていたうどんがっ、ウッ苦しい~思わず咽せて器に戻してしまった。嫌だぁもう。

まったくこの短い昼休みに、何回衝撃破を絵美から喰らえば良いのか? ゲホッゲホッ

「はい! 水」

ゲホッ。

「はい! じゃないわ! もう!」

「いや! ごめんねって、それから今の無しねっ! 聞かなかった事にしてお願いっ」

「聞いてない聞いてない、柴だなんて全く聞こえてない。どうぞ安心して下さいませ。ククク、ふーん柴かぁ。あの柴がねぇ。絵美の旦那とは驚きだ。へへへ」

「煩い! 黙れ~爽!」

私は不敵な笑みを浮かべると、

「なら、今度美味しものを奢ってね。楽しみにしてま~す」

良し! 絵美の弱みは握った!

自爆したお前が悪いんだと揶揄うとシュンとする絵美。

なかなか刺激的な昼休みは、社食終了のチャイムと共に終わりを告げた。

おにぎり残った! 何のかんの言って絵美は完食している。

本当要領良いんだから。

「じゃぁ爽頼んだよ。よろしくね」

「えっ! あっ!!……判った……」

要領の悪い私は、結局矢島健人と話すという一番避けたかった役目を押し付けられたのであった。



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