第9話 聞き上手? それもと聞きたがり屋?
比嘉は、トイレの一件より前から雪乃を知っていた。いや見ていたと言ったほうが正しい。
廊下で、社食で、エレベーターの中で、常に盛大に笑い、話しをする女子社員いた。
ハキハキとしたもの言いと中性的な魅力を醸し出すその子に、なぜが堪らなく惹かれて行く自分がいた。雪乃を遠くから見つめるたび、焦れる想いに胸を締め付けられる比嘉だったが、この悩みを相談出来る相手は無し。あの矢吹に話せば、お前は既婚者だぞ。忘れるな! と言われるのがおちだ。判っているよ! 判っているんだ! でも苦しいんだ。
そんな時だった。「おばちょん企画」のお手伝い派遣の話が降って湧いたかのように、上司よりもたらせれ、比嘉の渾身の一言「やります!!」が決めてとなり、晴れてチームおばちょんのメンバーになった訳だ。
そんな雪乃の前で事も有ろうに、離婚の話をしている自分がいる。
情けなくてはどんどん声が小さくなる比嘉だった。
雪乃は、比嘉がそんな事を思っているとは露知らず、比嘉を食い入るように鑑賞していた。離婚したとは言え、結婚してこの顔と暮らせたなんて! 贅沢極まりないよ奥さん!もう~みれば見るほど美しく、射抜かれるほど、ど真ん中なんだ。私なら飽きないけどなぁ。
うん? 待てよ、離婚の原因はなんだ? ここは聞かなくてはなるまいぞ! 行け雪乃!
「あのぉ、この際~踏み込んだ事も聞いていいでしょうか?」
なんだなんだ? 来るか? 来るぞ~離婚の原因だよな絶対に。
「えっと、原因聞きたいの?」
何度も頷き、思いっきり笑顔を見せる雪乃が可愛くてならなかった。
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