第3話 どうなる! 雪乃

 いつまでもその後ろ姿を見送る雪乃だったが、携帯が為り我に返った。

「雪! 打ち合わせ始まる!」

おっ!順子からだ。

ゲェッ! ヤバイ拙い~ダッシュ!

「遅い!もうぉ何してたの? 早く早く!」

順子は息を切らしている雪乃の腕を掴むと、思いっ切り引っ張っりながら、会議室に入った。上司はすでに着席済みだ。なんで今日に限っておじさんたちは早いのかなぁ。


 雪乃の部署はキャラクターを使った商品を製作するのだが、既存のキャラクター商品は頭打ち、斬新なキャラは、活きの良い若者から生まれる! などどいい加減な事をのたまう上司に押し切られた雪乃は、順子に力を借りながら先月から新キャラのデザインを考えている。絵を描くことは嫌いではないが、残念過ぎるほど下手で、自分でも笑ってしまうぐらいなのだ。それなのに、ああそれなのに、そんな私に任せるなんて本当大丈夫か? この会社と言いたいのである。

 いよいよ地獄の会議は始まった。進行は順子。トントントンと軽快に進めていく。

「では、次に佐々木より新キャラの説明になります。」

 前に出て、パワポで説明している傍から、ほら! あちらこちらから、笑い声が遠慮なしに聞こえてくる。最早爆笑の渦。

雪乃が、やっとのことで捻り出した「おばちょんシリーズ」

関西のおばちゃんキャラとお化けを合わせ、色々なおばちょんがギャグを連発する。

おばちょんは基本丸で、顔には点四つ、その時その時で表情は変化するし、伸びたり縮んだり自由自在なお化けで、楽しく浮遊するんですよね的に説明したら……あたりまえだけど、ガンガン! ゴンゴン! ツッコまれ、厳しい責めもあり、チクショウ! 拷問かよ! ったくさ、誰か代わりに描いてよ。それにギャグまで考えろって言われても、普段から寒いギャグ飛ばしまくりの部長さんたちじゃあないんだから! そんな事を言うならお前たちで考えろ!と言いたい……けど言えないこの辛さ。グスン。

 しっかし、絵のセンスがある順子は良いよね、大人可愛い綺麗系のデザインをまかされ、

今日の会議でも評判が良い。そしてなんたって順子の凄いのは、社内用キャラクターデザインが採用されて、今や会社のマスコットになっている。

その順子が、必死に押している「おばちょん」なら、考える余地はあるのではと、営業部長がこの企画を押し始めた。営業に協力出来る人材もいるし、いっそチームにして、おばちょんを練ってみたらとまで言い始めた。

うちの部長もその申し出を、いとも簡単に受けたよ! バカじゃない? もう嫌だ! 移動願い出してやる。

 結局順子、雪乃、営業の人で「チームおばちょん」が、あれよあれよ言う間に出来上がってしまったのだった。

 誰か! 誰でも良いから~助けて! おばちょんを練ってどうする? 私は知らないぞ!責任取らないからな!っだ。



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