第4話 こんなのありなんだぁ
美香は虚しさが充満し過ぎて溜息が止まらない。如何して周りが言っているようなロマンチックなセックスは出来なかったの? 別に場所云々を言ってるのでは無い! ムードってもんがあるでしょうが! ああやっぱり仕切り直しすれば良かった……なんて計画性のない女なんだろう私って。
「好きなはず。でもなんだろうこの良く判らない気持ち。ああ~目が溶けそう……もう……無理……だ……」
美香はベッドに体を放り投げると朝まで死んだように眠ってしまった。
だが、脱処女後遺症はこれだけでは終わらなかった。翌朝超悲劇的な状態に陥るなんて誰が予想出来たであろうか。
美香は痛みで目が覚めた。
へっ? 体中が痛くて痛くて痛くて痛くて如何することもできないでいた。首から始まり手先足先まですべての筋肉が痛む。全く動けないし、あそこはひりひりと痛む。
のたうち回りながら、やっとのことでベットから這い出たが、なんと三十分以上かかっているでなはいか! 家を出るまで二時間以上だ。会社には風邪で病院に行くと連絡を入れた。
脱処女で全身筋肉痛なんて本当あり得ない……グッ……そんなのどこの本にも書いてなかったし、
誰も言ってなかった。この最低最悪な翌日のことをさ。みんなは大丈夫だったのか? 私がおかしいのか? こんなだったら脱処女なんてしない方がまし。
うっ……痛い辛い!痛い! 歩きにくい。足が閉じない……然し仕事に行かなくてはならない。もう散々な一日だっ!つうの。
佐々木とはあれから四カ月付き合っている。が、余り楽しく無かった。何故だろ? 好きなはずなのに。
それまさに奇襲だった。
美香は待ち合わせ時間に来ない
佐々木に電話入れた。
「佐々木さん? 今日約束大丈夫? えっ? 何? 聞こえないんだけど」
佐々木は異常に小さな声で話し始めた。
「えっ……約束してたっけ。ごめん忘れてた。今日は無理って言うか、もう会えないんだ。実は、イギリスから彼女が来てね。だから悪いんだけどこれっきりとい事で。じゃ切るね」
…ツーツーツー。
「えっ! もしも、……もし」
受話器をガチャリと置くと、美加は暫くは動けなかった。
「すみません、電話良いですか?」
後の女性に声をかけられ我に返った。
「あっ、すみません……」
美香は池袋の地下をフラフラと当てもなく歩いていた。
何?……何? 彼女って言ったよね。もしかして私振られたの? あれ? 失恋したの? 涙は…出でない。えっ? むしろほっと為ている。 足取りは軽い。笑みまで零れてくる。後から悲しみが、なんて押し寄せて来る気配もない。
あらまあ、あっけらかんとしている自分。
でも彼女が来たからバイバイとか
まったく笑えるわ。
申し訳ないって気持ちあったのかしら? 私が怒鳴り込むとか修羅場になるとか全く考えていなかったみ。舐められてた? だとしたらそこは腹立つけどね。
でも色々勉強になりましたよ。
中でも一番の教訓は、セックスでは力を抜けだっ! そして新しいパンプスは絶対に履かない。
いや~こちらが仕掛けるときは良い作戦だと判りました!
終
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