2022/12/13 第13話
「なんか~来美っちの所属してた映画サークル? 瑠香奈ちゃんの自殺の前にちょっとゴタゴタしてたみたいで? あたしもあんまり詳しいこと知らないんだけど~」
「へ~」
先生は春子さんから順調に話を聞き出しており、おれはもうほぼ影みたいというか、いないも同然になっている。
「それってさ~、なんか恋愛がらみのやつなん〜?」
「うーん、来美っちはそう言ってたけどぉ」
と、春子さんは首を傾げる。「なーんか違う気がするんだよね~。でも来美っちはともかく、瑠香奈ちゃんってあんま大事なこと色々言わないっていうかぁ~、一人で悩む人っているじゃん?」
「あ~、いるいる~」
「そういうタイプの子だったかな~みたいな? まぁあたしもそんな内情詳しくないんでぇ、やっぱ映画部に聞くのがベストじゃないかな~?」
「そっか~、ありがとねファルコン、ついでにもう一個頼みがあるんだけどさ~……」
ふたりがやりとりしているのを眺めつつ、おれは事務所に来た馬刷間来美さんと、例の動画に映っていた新泥瑠香奈さんに思いを馳せた。そうだよなぁ、そもそも何で新泥さんは自殺なんかしたんだろう……。
あの動画の中で、新泥さんは「部長と付き合ってるってほんと?」と来美さんに尋ねていた。台詞の内容と雰囲気的には、新泥さんは来美さんと「部長」とやらが付き合っていることにいい感情を抱いていないようだ。新泥さんと来美さんと「部長」、三人の恋愛関係のもつれに悩んでいたのか――と思いきや、春子さんは「なんか違う気がする」という。あまり内情に詳しくないという彼女の言い分だからあまり重きを置かない方がいいと思うけれど、それでもなんとなく引っかかるのだ。
「柳、柳ってば」
先生に肩を叩かれて、おれははっと我に返った。よっぽどボンヤリしていたらしい。
「はっ! すみません先生。何か?」
「映画部の部室に行くぞ」
「は!?」
「ファルコンに繋いでもらった。たまたま何人か集まってるらしいから、今すぐ行くぞ」
「今から!?」
ちょっと待て、いつの間にそんな話になったんだ……!? もうコミュ強すぎてついていけない。おれはいわゆる陰キャなのに。
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