絵本

青年と小さな神さま

昔々、小さくて力のない神様がいました。

人々に信仰されていないせいで消えかけの炎のような存在でした。

そんな時、1人の青年に出会います。


青年は神様を信じました。

神様は人間を知らなかったため、青年とともに旅をします。

神様は青年の成長を見届けながら、他の人からも信仰を少しずつ得ていきました。


そして、人間はそれぞれ職業という名の役割があること、それぞれ名があること、それぞれ力があること、そしてそれを書き記し、後世に残す紙が存在することを知りました。


青年が30も半ばになった頃、人間同士の争いが始まりました。

醜き戦い、無意味な血と汗。

神様は生まれてはじめて最も無意味な行為を目にしました。


青年は徴兵され、戦の炎に消えていきました。

神様は探し続けました。その青年を、生きている証拠を。

10数年経った頃でしょうか。戦も収まり始め、街の復興が始まっていました。

神様は見つけたのです。彼の、青年の亡骸を。


神様は街が沈むほど、海を作るほど涙を生みました。

神様があまりにも暴れるので、人々は力を合わせ、神様を封じることにしました。

それを知った神様は怒るどころか自分自身に失望してしまいます。


「あぁ……なんてことを。これではまた無意味な行為が起こなわれてしまう」

神様は2度と無意味な行為を起こさせないように神様を作りだし、自身を封印し、深い眠りについてしまいました。

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