第15話
tスポーツ愛好者の従僕やメイドたち10人がつどったのは、屋敷の東翼一階にある使用人控え室――
長テーブルの上に、地図やミニチュアフィギュアやサイコロ、図表のプリントアウト、それにノートパソコンやタブレット数枚が置かれている
聞けば、“tスポーツ”とは、TRPG――テーブルトークロールプレイングゲームのことだそうだ
やはりわからない
軽くレクチャーされたところでは、会話で自分のキャラクターを動かしてストーリーを進めるという遊びで、思うように話を展開させるために、サイコロを転がし、その成否を決めるものらしい
「たとえば“ファンタジー系tスポーツ”なら、こんな風にゲームが進むだろう――」
エキスバトンが言った
「『迷宮の通路を右に曲がる!』『オゥケイ、淡く光る鍾乳洞を右に曲がると、目の前に古びた青銅の扉が現れる』『開けてみよう!』『開かない! 鍵がかかっている!』『鍵開けの道具を使うよ!』『スキルチェックだ! サイコロを振って!』『出目は5!』『成功だ! 君が扉を開けたとたん、なかで教科書をひろげて自習していたゴブリンの子供たちがいっせいに目をまんまるにして君を見るよ!』――っていう感じでね」
アホちゃうか・・・
とまでは思わなかったが、オマハンはあきれ返った
いま聞いたそれがtスポーツなるものだというのなら、今のこの時代、日常生活そのものが自分の口で自分を動かすtスポーツみたいなものではないか――!
ほんなら、それってもう・・・
もう“tスポーツを遊ぶtスポーツを遊んでる”ようなもんやん・・・
「いま我々がプレイしているゲームタイトルは『なごりのアビー・エマ』――遠い古き良き時代の、執事や従僕やメイドたちの物語さ」
このエキスバトンの言葉に――
オマハンは、輪をかけてあぜんとなった
なんでそんな題材を、わざわざ・・・?
日々のなりわいとして、すでに実地に体験中やんか・・・
「ではパセラッハ(オマハンの偽名だ)、まずは君のキャラクターを作成しよう!」
エキスバトンが言い、ほかの参加者も親切な口調で、
「初心者は“従僕β”の
「だね! 使える“
「そうだな、“従僕β”なら自分のキャラに何が出来るか、すぐにイメージできるだろう! あ、ゲームマスターは私が務めるから」
ゲームが始まった――
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