第10話
「やっぱりあなたが……」
「イメージが湧かないと言っていたからね、これを飲めばその世界が見えるわよって教えてあげたの。本当に飲むかどうかは、本人が決めることでしょう?」
「なぜそんなことを」
「なぜ? そおねえ、私特異体質みたいで、これを飲んでも理性を失くすことがないの。ひょっとしたら、私はこの世界を魔界に変えるために、この時代に生まれてきたんじゃないかと思い始めたの。それでお仲間が欲しかったんだけど……あの人もだめだったみたいね」
「許せない……あなたを地獄に突き落とす」
「地獄? ふふ、地獄の使者である私に何ができるって言うの?」
シェリムは錠剤を口に含むと、赤ワインをくいっと飲み干した。血の涙を流すと体に急速な異変を起こす。黒い毛並みに覆われ、尾を伸ばし、頭部に角を生やした獣人に変容した。
「どう? これが私の恐怖の具現化、美しいと思わない?」
「……ドローイング、『修道女の晩餐』。トランスマインド、
マルトが画面に絵を描くと、
「知っているわよ、その姿百六十秒しか持たないんでしょう? 魔物の姿を真似たところで、本当の魔神である私の相手にはならないわ」
シェリムは口を大きく開けると、尖った舌先をマルトに向けて放った。鋭利な舌先がマルトの肩を貫く。
マルトは激痛で顔を歪ませるが、力を振り絞り鎌でその舌先を断ち切った。続けざまに長く伸びた尾が硬質化してマルトの手足を小刻みに切り裂いていく。
マルトはその尾を鎌で払いながら後ずさりしていき、行き場がなくなると壁に張りついた。
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