第7話
ローヌ街の上空から見下ろすと、複数のポリスドローンが移動しながら、一点に向けてビームライトを照らしていた。近づくにつれて見えてきたのは、おびただしい数の路面に転がる魂の抜け殻。
オートスピーダーを着陸させると、マルトはその抜け殻の中にダリルはいないか一人一人確認しながら、怪人が彷徨う場所へ足を進めた。
他の警官は誰もいない、民営警察に身命を賭してまで市民を守る義理はないからだ。
やがて見えてきた怪人は全身を灰色の剛毛で覆い、尖った口には白く光る牙を生やしていた。マルトはその姿を見てアパートに住みついていたねずみを連想した。
血がしたたる口元はかすかに吊り上がり、ドローンが照らすライトに両手を掲げて仰ぐ姿は、恍惚感に浸っているようにも見えた。
マルトはタブレットを取り出すと、ペンを画面の上に走らせた。
「ドローイング、『天使の嘆き』。トランスマインド、
元々宗教画を描くことが好きであったマルトは天使を題材に選ぶことにした。荘厳な
マルトの翼に雨が跳ね返ると、反射した光彩がまわりで煌めき、オーラを発しているかのような幻影を映し出した。そのオーラに惹きつけられるように怪人は振り向く。
「ぐるる」と唸り声を上げると、美しい獲物を見つけた獣のように、マルトをじっと観察した。
一瞬の沈黙の後に、怪人は足の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます